上原ひろみファンとしては見逃せません、このアルバム。
矢野顕子も聴き始めたのは90年代からですが、個人的にはデビューから80年代くらいのちょっと前衛っぽい音楽が好き。この人も結構、変拍子好きなんですね。
そんな二人がピアノデュオ+矢野顕子のボーカルというシンプルな編成で行ったライブの様子を納めたのがこのCD。
何と言ってもジャンルが全く括れない、不思議な音楽空間が私にはとても気持ち良かったのです。
ジャズっぽい部分もあるし、ポップス風の部分もあるし、現代音楽風だったり、民謡風だったり、それでいて二人のあまりに個性的な女性は、全体を通して何とも形容しがたい統一感を作り出しています。
このバリエーションにまず圧倒されました。
��曲目の「あんたがたアフロ」というふざけたタイトルの曲。この前衛っぽさがたまらない。ラヴェルとプロコフィエフをジャズ風味に混ぜ合わせ、そこに自由すぎる矢野顕子のボーカルが入ると、もうどこにも無い音楽世界が出来上がります。
��曲目の「りんご祭り」も面白いですね〜。こてこてのジャズ風に始まりながら、その雰囲気を持ちながら、昭和歌謡の代表とも言える「リンゴの唄」になだれ込みます。昭和的なバタ臭さを漂わせつつも、下降音形の洗練されたコードプログレッションが同居する面白さ。
終曲の「ラーメン食べたい」は矢野顕子の往年の名曲。これも原曲からは跡形もないほど切り刻まれ、新しい魅力が付与されています。
全体的には、上原ひろみとのバランスを保つため、決してボーカルが歌う箇所は多くありません。
その分、きちんとピアノの超速弾きなどのヴィルトゥオーソを楽しませてくれます。
ただ、バックミュージックとして流すには本当にもったいなくて、ライブの雰囲気を一緒に味わいたければ、ヘッドフォンステレオで聴いたほうがいいかも。ピアノの定位感がはっきりしてきて、二人の掛け合いしている様子も味わえます。
二人が出るテレビ番組では、二人がラーメン食べ歩き、みたいなシーンばかりですが、もう少しテレビならではの視点で音楽を流して欲しいものですね。
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