12音全ての間隔が等しくなければ、必ずどこかの音程に歪みが現れてしまいます。どんな調でも使えるような音律を目指すなら、結局のところ、12音全てを等間隔にするしか道はなかったのです。
12音を等間隔にする、ということは、ピタゴラスコンマを12等分して、各五度に分配する、ということです。そして、そのようにして作られた音律が平均律と言うわけです。
結果的に、平均律の五度は純正な五度に比べて2[cent]ほど音程は短くなっています。これは非常に小さな値なので、ほとんどの場合気にするほどのことはないでしょう。
それでは長三度はどうでしょうか?
五度を四回繰り返して作るピタゴラスの長三度、平均律の長三度、純正な長三度は、こんな大小関係になります。
ピタゴラス>平均律>純正
前回、ピタゴラスの長三度 − 純正長三度 = 22[cent]であり、この値がシントニックコンマと呼ばれるという話をしましたが、平均律の長三度 − 純正 = 14[cent]となります。
ピタゴラスよりはましですが、それでも平均律の長三度は純正な音程よりも高い音程になってしまいます。
現在のほとんどの音楽は平均律を元に作られているといっても過言ではありません。その一方、平均律を忌み嫌う人たちもいます。
確かに数字の定義の厳密な意味においては、平均律はハモる音程を全く使っていません。しかしながら、平均律は転調を容易にし、調律のややこしい取り決めを簡略化させました。それは音楽の発展を促す要因の一つにもなった、と私には思えます。
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