2010年3月12日金曜日

12.いろいろな音律

最も昔から使われていたのはピタゴラス音律と呼ばれるものです。もちろん、ギリシャの偉大な数学者、ピタゴラスが考えたと言われています。
この音律は、五度を積み重ねて音階を作っていきます。ちなみに、五度の積み重ねを12回繰り返すと元の音と同じ階名になります。元の音より7オクターブ上になるはずのこの音は、計算すればわかるのですが、残念ながら5度を12回積み重ねた周波数と同じ値にはなりません。



五度の積み重ねを12回繰り返した音と、それと同じ高さにあたる7オクターブ上の音の差のことをピタゴラスコンマと言います。この値は23[cent]程度の大きさです。後世の飽くなき新音律作りはこのピタゴラスコンマをどうやって詰めていくか、ということでもありました。

バロック時代には、長三度の音程が重要視されるようになりました。それは、旋律中心の音楽から和声中心の音楽への変化の時代でした。
五度の積み重ねを4回繰り返すと、元の音の三度上の音が得られます。ところが、ここでも五度の積み重ねの音と、純正な音程として得られる長三度の音と大きなずれが生ずるのです。
これはごく簡単な分数の計算で分かります。



この二つの差のことをシントニックコンマと言います。約22セントです。特にバロック時代以降に現れる音律では、このシントニックコンマを詰めるという考え方も現れました。
4回繰り返して22[cent]ずれるので、この1/4だけ完全五度を詰めれば、長三度はハモる音程になります。この音律を1/4シントニックコンマ、あるいはミーントーン(中全音律)と呼びます。同様な考え方で、長三度も完全五度もほどほどにということで1/6シントニックコンマというのもあります。

このように歴史上現れた様々な音律を古典調律と呼び、特に古典派以前の音楽を演奏する場合には、当時の音を再現するという意味で重要な要素となっています。

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