2007年5月26日土曜日

クサいものにフタをする私たち1

ハーモニー春号のトップの特集、烏賀陽氏の話はなかなか興味深い内容がたくさんです。私も「Jポップの心象風景」という本は持っており、日本人の民族的な特徴をJポップから読み解こうとする視点は面白いと感じていました。
ハーモニーにも書いてありますが、日本の音楽は世界で全然売れていない、という現実があります。これはJ-POPだけの問題だけでは恐らくないでしょう。合唱にしたって、日本の合唱曲は海外でそれほど広まっているとは思えません。

何か、そこには芸術に対する深い感覚の相違というのがあるのではないか、とそんなふうにも思えます。
それは、西洋の芸術と日本の芸術の非対称性という問題とも微妙に絡んでいると思います。日本人は西洋の芸術を素晴らしいと感じ崇拝する一方、日本の芸術はまだ西洋には追いついていないと考えている。そして現実に、海外ではほとんど日本の芸術は鑑賞されていません(音楽はその傾向が強いですが、他のジャンルでは世界に通用するモノはないことはないです)。

日本人論みたいな大きな話にするつもりはないのですが、そういった日本人の文化・芸術に対する一つの特徴として、「クサいものにフタ」的な意識が強くはないかな、ということをふと思ったのです。
私たちは、音楽や歌に美しいものを知らず知らずに求めているのではないか、見たくないもの、論じたくないもの、公序良俗に反するもの、そういうものを芸術から廃し、芸そのものがひたすら非現実(理想世界)で美しくあることを良しとする感性が根深くあるような気がしてきたのです。

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