2007年4月9日月曜日

電子ピアノはどうなるのか?

あてどもなくクラシック音楽について書いていますが、そこから派生して楽器のことなど考えてみましょう。
今、もっとも普及していて、多くの演奏人口を抱える楽器とはやはりピアノだと思います。クラシックでも、ポピュラーでも様々な音楽で使われ、学校教育で広く普及しており、そして一台だけで音楽の骨格を奏でてしまうことも可能な万能楽器。
また鍵盤をスイッチと考えると、最も機械化、電気化が容易なため、生の代用として多くの電子ピアノが作られるようになりました。昨今では、電子ピアノの性能も上がってきています。では、今後生ピアノと電子ピアノの関係はどうなると思いますか。

こんなことを考えるのも、これからの音楽を考えるのに、非常に象徴的なことだと考えるからです。
楽器は大音量化、扱いやすさ、という点を改良するために、これまで発展してきたと言えると思います。大音量化は電気拡声(つまりPA)が可能になった時点で、新しい局面を迎えました。この点については、また別の話題で書くこととして、一方で電子化は扱いやすさに貢献しています。
例えば、ピアノは大音量化のため、弦の張力アップが必要で、そのためにフレームが巨大化し、頑丈になってきました。そのため、最上級のグランドピアノなどは楽器自体が非常に大きくなっています。また、きちんとした音を鳴らすためには、調律や整音も欠かせません。
しかし、その問題は電子化によって解決可能です。乱暴に言ってしまえば、電子ピアノは鍵盤とスピーカがあれば事足りてしまうのです。だから楽器も小さくて済むので移動も簡単になります。また電子音なので音の調整も不要だし、鍵盤とスピーカがへたらない限り、メンテナンスフリーです。

もちろん、多くの人が生ピアノが電子ピアノに取って代わられるとは思っていないでしょう。
鍵盤のタッチもまだまだ生には及ばないし、そもそも生楽器の持つ豊かな響きをスピーカで再現するのはほとんど不可能だからです。どんなに技術革新しても、そうそう生と同じレベルに電子ピアノが到達するとは、正直私自身思っていません。(←開発者のくせに・・・)

ただ私は、仮に電子ピアノが生と同じレベルに達しなくても、今後10~20年くらいの間に、多くの生ピアノが電子ピアノに取って代わられるのでは、と本気で思っています。
それは、時代が変わることによって人々の価値観が変わってくるからであり、生ピアノにはない電子ピアノのアイデンティティが確立してくるからということなのですが、この続きはまた、ということで。

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