2005年6月5日日曜日

In The Middle Of Life/The Real Group

TheRealリアルグループの最新アルバムにして、日本デビュー版になるCDを聴きました。リアルグループは知る人ぞ知る、有名なスウェーデンのアカペラバンド。今年で結成20周年だそうです。このCDの解説の中に、メンバーの自己紹介が載っていたのですが、彼らは1962-3年生まれなんですね。随分昔からいたから、結構な歳なのかなと思ったら、自分よりちょっと年上なだけじゃないですか。(-_-;;
さて、このCDですが、さすがリアルグループと唸らされる演奏の数々。歌のうまさ、ハーモニーの確かさは格別です。お気に入りな曲もいくつか見つかりました。曲のバリエーションも多く、楽しんで聞ける一枚です。
ただ今回は、このアルバムで気になったことを少し書いてみたいのです。
一聴して気になるのは、打ち込みの多用と、バンドの音の模倣への傾斜です。数曲聴いたとき、今回はついに本物のバンドを入れてしまったかと思いましたよ。どうやらそういうわけではなさそうですが、曲によっては明らかにサンプリング&打ち込みによって作られている部分があります。私としては、アカペラバンドのくせに、生で歌わないで、そういうやり方をするのは気に入らない、と言いたいわけじゃないのです。むしろ、録音技術の力に頼るのは、ちゃんとポイントが絞ってあれば構わないと思っています。
ただ、その結果、彼らが作りたいサウンドが、通常のバンドが奏でる音を声で模倣することを指向しているように思えてならないのです。つまり、ベース+ドラムのリズム隊、キーボードやギターなどのハーモニー系、メロディ、といった役割分担があまりにはっきりとしすぎたアレンジなのです。
これは、諸刃の刃だと思います。アカペラのようなマイナーな世界からポップ界での成功を狙おうとして、ポップ調にしたい気持ちはわかります。だけどアカペラだから良かったところまでスポイルしてしまってはもったいないし、これなら別にアカペラじゃなくていいじゃん、と言われかねません。
アカペラならではの書法というのはあります。全員が歌えるのだから、一曲を通して一人がリードボーカルである必要はないし、場合によってはもっとポリフォニックな処理をしたって面白いでしょう。ヴォカリーズのバリエーションだっていろいろあるはず。そう考えると、初期の方が音楽的にはアグレッシブだった感じがします(いやそんなに詳しくないですが)。
ちなみに、ジャケットの裏に "The voice is the only instrument used on this album." なんて書いてあるんですね。いくつか信じがたい音もあるのだけど、恐らくいろいろな技(エフェクトなど)を使ってサンプラーへの録音をしたのだと推察します。 だけどこのリズムの音は、やりすぎなのでは・・・

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