初音ミクと聞いて、オタク世界で勝手に盛り上がっている現象と侮ってはいけません。
今までニコ動でたまに聞いていた程度でしたが、結構このベスト盤が売れているということで買ってみました(ちなみにもう一つのベスト盤は買ってません^^;)。
しかし、一通り聞いて思ったのは、もうこれはプロの仕事ですよ~。CD化に際しては多少は再ミキシングやマスタリングなどでオリジナルよりは良くなっている可能性もありますが、それにしても、オリジナルの音楽性の高さもなかなかのものです。普段聞くJ-POPよりももう一段、アレンジや音作りが凝っているし、作曲や詩のセンスもなかなかのもの。作り手の音楽レベルの高さが伺えます。
私もポップスの音楽制作のマネ事をしたこともありますが、これだけのクオリティのものを作れる自信は全くありません。もちろん、趣味で音楽制作をやっていてこれくらいのレベルに達する人もいると思いますが、恐らくこの作り手の中のいくらかはプロとして活動している方もいるのではないかと推察します。
実際、現在のCD不況、音楽産業不況は目を覆うばかりなのです。
CDが売れないから、売れない音楽は作らなくなり、制作が決まってもオリジナル作品の制作費は減らされます。最近はアレンジャーが自宅で作ったカラオケに、歌手が一日スタジオを借りて歌を入れ一枚完成、なんてこともザラです。また、新譜であっても制作費がかからない過去のリマスタリングとか、ベスト盤が増えています。
こういった中で、実際飯を食えているミュージシャンはごく一部で、日頃作曲コンペに提出するために曲を作りつつ、コンビニでバイトしたり、楽器販売店員として生活をしているようなプロミュージシャンはたくさんいます。
こういったワーキングプア的なミュージシャンの中でも十分音楽的な実力があり、クリエイティビティのある人がいても不思議ではありません。そういった人々が、切り詰められた制作費でつまらない要求をするレコード会社相手に仕事をするより、直接賞賛を得られ、音楽的にやりたいことを存分に行える世界のほうが(金銭的対価が無いとしても)魅力的であるのは想像に難くありません。
「初音ミク」現象はまさにそういった状況を反映して現れたものではないかと思うのです。
もちろんオタク的、萌え的な要素で人気が出たのは確かですが、私にはむしろ作り手が「萌え」という市場を意識して作った戦略的な作品のようにさえ思えます。
アーティストがレコード会社やCDショップという中間部分を省いて直接愛好家に音楽を届けることが可能になったことを「初音ミク」が象徴的に成し遂げました。
その後、音楽産業はどうなるのか、個人的にそちらのほうが興味があります。
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