サンプリング周波数の次は、量子化ビット数。
CDは16bit。16bitというのは、2の16乗のことなので、数値的には65536段階まで音圧を表現できるということです。
ただこんな数値を言われても、なかなか感覚的に理解できません。そこでdB(デシベル)という単位を利用します。これは音圧を対数にしたものなので、何倍とかいう表現を足し算で記述することが出来ます。
音が2倍になったとき、6dB大きくなったと表現します。4倍になったときは、12dBです。CDは2の16乗なので、この倍々が16回、すなわち6dB×16=96dBということになります。
またまた数値だらけですいません。
すごく単純にいえば、小さな音から大きな音まで(以後、ダイナミックレンジと呼びます)CDは96dBの範囲で入れることができる、ということです。
人間の耳のダイナミックレンジは140dB程度と言われています。これは、例えば無響室(全く音が響かない実験室)で聴く微かな衣擦れの音から、爆音のロックコンサートをスピーカの前で聴いて耳が潰れる寸前のような大音響までの幅が140dBくらいと思えばいいかもしれません。
確かに24bitくらいまであれば140dBのダイナミックレンジが実現しますが、そんな音を鳴らすスピーカはそうそうないし、そんな爆音を自分の家で鳴らしたら近所迷惑。まあ、普通の音楽鑑賞ではそんなダイナミックレンジは必要ありません。
今どきのポップスは、ヘッドホンステレオで聴き易くするため、むしろコンプレッサーでダイナミックレンジを減らす傾向にあり、実は30dB程度で十分鑑賞可能ではないかという気もします。もちろん、あんまりデジタル信号が粗いと量子化ノイズが目立ってしまいますが。
例えば、ピアノのある鍵盤を一つポーンと弾いて、音が消えるまで鍵盤を押さえ続けたとします。被験者に音が完全に消えたというタイミングで手を挙げてもらうと、音が鳴り始めてから消えるまでの音量差は、私の経験的に50〜60dB程度と思います。もちろん無響室で行えば、もっとその数値は高くなるでしょう。しかし、普通に聴く音がそんなに大きくないのであれば、実際に私たちが音楽として必要とするダイナミックレンジは無闇に大きい必要はありません。
だいいち、96dBのダイナミックレンジを正確に再現しようとすればむしろアナログ部品のほうが割高になってしまいます。たいていの機器はそれより低いSN比で、ノイズの方が勝ってしまいます。1万円程度のCDラジカセでは、CDのダイナミックレンジを表現できるほどの音は出ないはずです。
そんなわけで、量子化ビットに関しても、CD以上の品質は必要無いと私は考えています。
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