タイトルに惹かれて立ち読みしてみたら、これが大変面白そうなので、ついつい購入。
私が、このブログでくどくど言っていることが気持ちいいくらいそのまま(しかも分かりやすく)書かれていて、全編膝を打つような気持ち良さで一気に読みました。
著者は文筆家なのですが、芸術についても非常に造詣が深い方。本書では、特に特定の芸術について書かれているわけではないですが、個々人の「芸術」活動の方法について、その心がけのようなものが書かれています。
我々にとって取っ付きやすいと感じるのは、本当にこの方多趣味なんだけど、そのうちの一つに声楽があって、クラシック、特に声楽ネタが本書ではたくさん扱われています(三大テノール批判とか)。なお、本人はプロの声楽家と「重唱林組」などというカルテットを組んで、演奏活動しておられるとか。
やわらかで読みやすい反面、内容は相当辛辣といっていいでしょう。
特に、日本における芸術の扱われ方というのは、教育の世界でも、商業の世界でも、メディアにおいても、実に貧しい状況であることを嘆いています。また、個人レベルで見ても、人にレッテルを貼ったり、芸術家個人のストーリと芸術そのものの価値が混同されたり、訳知り顔のオタクが初心者をバカにしたり、カメラオタクがカメラの機種の薀蓄ばかり垂れていたり・・・などなど著者が嫌うような芸術態度が目白押し。
やや断定口調であるのは気になりますが、それらも言いたいことの本質はとても共感できるのです。
このブログをいつも読んで頂いている奇特な方には、超おススメの一冊。
もう私の意見かというくらい、私の日ごろ感じていることをきれいにまとめてあります。平易な言葉で書かれているので、半日ほどで読めるはずです。
0 件のコメント:
コメントを投稿