五年ほど東京事変としての活動が続いた椎名林檎が、ソロ名義のアルバムを発表。昨年の林檎博といい、ここのところの活動は激しさを増しています。そして、何といってもまるで今のJ-POPのアンチテーゼのような音楽の凝りようが素晴らしい。
このアルバムも、一言でいえば凝りまくってます。あまりに仕掛けが多くて、落ち着いて聞けないほど。
曲ごとにアレンジャーを変え、ラップ、4ビート、ラテン、テクノ、そしてオーケストラサウンドと、あまりに多種多様な音楽が詰め込まれています。
いまどきの制作費の安いJ-POPにはとても真似できない豪華さ。根本的にアルバムを作る際の金勘定の仕方が違っているのでしょう。まず良い音楽ありき、で、必ず売り上げは付いてくる、という自信が無ければ、こんなアルバム作れません。
個人的には、やや変拍子っぽく聞こえるオーケストラ曲「都合のいい身体」がヒット。プログレ好きの私としては、こういうリズムや和音が凝った音楽が好きなんですね。
よくよく読むと、詩も大変面白い。これもJ-POPのアンチテーゼを狙っている感じ。恋愛を歌った曲も随分少ないし。上っ面の音楽かくあるべし、のような感覚を、どうやって覆そうか、いつも彼女はその微妙なラインを狙ってきます。
椎名林檎が、今の日本でクリエータ魂を刺激する稀有なアーティストであることは間違いありません。
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