2009年6月22日月曜日

ザ・ケルンコンサート/キース・ジャレット

Koln1975年にドイツ・ケルンで行われた、ジャズピアニスト、キース・ジャレットのコンサートのCDを購入。
当時、キース・ジャレットはピアノのソロコンサートを全て即興演奏で行うという試みをしており、その中でもこのケルンコンサートの演奏は非常に評価が高く、名盤といわれている音源なのだそうです。
実際聞いてみて、音もクリアだし、なかなかいい雰囲気の音楽。ただし、ジャズと言われると、ちょっと違うかも、というのが率直な印象。ほとんどスイングしてないし、フレージングもロック調だったり、クラシックぽかったり、あるいは、ちょっとウインダム・ヒルっぽい、ニューエイジ的な雰囲気もあります。
恐らくこの演奏は、純粋な音楽として聞くだけでなく、これが全編、準備無しのインプロビゼーションである、という前提で聴くべきなのでしょう。
そう考えると、今この瞬間に音楽を紡ぎだすその過程であるとか、思い付いたフレージングが即興でどのように発展していくのかとか、あるいは高揚した気持ちをどのように処理していくのかとか、一人の音楽家が持つ音楽力が丸裸にされ、それをさらけ出すという非常にスリリングなパフォーマンスだと言えるでしょう。

これは音楽家のあり方を問う行為でもあります。
音楽は、完璧に事前準備され、計算ずくで演奏されるべきでしょうか?それとも、本番の演奏でしか現れない即興性を追求すべきでしょうか?
恐らく、われわれ凡人はそのどちらに振ることも出来ないのですが、本作品では片一方の極端な答えを探すという大変な苦行を自らに課しているのです。そして、それこそが、この音源の大変貴重である所以ではないかと思われます。
私には、ある意味哲学的で、非常に興味深い試みのように感じられたのです。

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