ウン十年前、シンセはいろいろな音が作れる、と言われたものでした。・・・とはいっても、普通そう言うと、「じゃあ、ピアノの音を作って」とか「人の声を作って」とか「ヴァイオリンの音を作って」といったように、言われてしまうのがオチ。まぁ、一般的には有りものの音しか、人は想像することが出来ないものです。
しかし正直言って、自然の音など複雑すぎて、合成的な手段では音を作るのは不可能と言っていいと思います。実際、最近のシンセというのはPCM音源といって、結局のところ、実際に楽器を録音した音をメモリに詰め込んで鳴らしている、いわばテープレコーダのようなもので、まさに上記のような有りものの音を再現するために出てきた楽器と言えます。
そもそも、アナログシンセというのは、この世には無い不思議な音を作るために存在している、と言っていいと思うのです。幻想的なストリングスとか、フヮ~とした音とか、金属的なベルのような音とか、ビョンビョン鳴るような音とか、それらは何かの楽器の特徴を感じさせながらも、全く聴いたことのない音であり、異次元的、宇宙的なイメージを人々に与えることができるのです。
結局、アナログシンセで音を作る、ということは、頭の中にある音色のイマジネーションを現実化するということであり、そこには作ろうとする者の明確な意思があり、だからこそ、音色を作り出すということが一種の芸術的な行為であるとも言えるのです。
残念ながら、作ろうという強い意志がなければ、やはりシンセでイイ音は作り出せないのです。
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