2005年4月26日火曜日

密会/安部公房

mikkai自分では安部公房という作家を結構好きなつもりだったのだけど、ここのところ「箱男」「密会」と二冊読んで、あらためてその前衛的な作風に触れると、好きだなんて軽はずみに言えないような気がしています。
何というか・・・、読むのにとても頭を使わせるのです。毎日少しずつ読んでいると、ちっとも頭に入ってきません。集中して一気に読む必要があるのです。
さて、この「密会」、どんな話かというと、大まかに言えば、ある男の妻が突然、救急車に連れて行かれ、男は妻の行方を捜すために、病院の大迷宮の中をさまよっていく・・・といったところ。しかし、二本のペニスを持つ馬人間、この男に好意を持つ女秘書、自慰行為を続ける溶骨症の少女、といった変態的なキャラがこの男を翻弄していきます。
ある意味、ハチャメチャなのだけど、シュールというのとはちょっと違う。バカバカしくなりそうな設定なのに、どこまでもシリアス。それに、小説の時間構造が操作されているため、読者は何度かわけがわからなくなります。それらも計算ずくのようで、そうでもないような気もするのです。
それにしても、この小説の中の病院は、忘れがたいほど幻想的なイメージを読後に残します。本当に夢の中の情景のよう。それを楽しむだけでも、この本を読む意味はあるかも。
最後の場面で、自分の妻と思しき女が、大衆の面前でオルガスムコンクールなんてのに参加している、なんてシチュエーションはまるでアダルトビデオのようだけど、こういったストーリーを平気で紡いでいく安部公房という作家、やはり私にはとても不可解なのです・・・

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