2004年2月1日日曜日

大人の文化、子供の文化

今や、日本発のアニメ、マンガは世界中に輸出され、一つの文化として日本が世界に発信できる重要なものの一つになっているような気がします。
当然、日本でアニメ、マンガがこれだけ流行ったのは需要があったからであり、何か日本人の心にフィットするものがあるのかもしれません。なぜ、日本でアニメやマンガの文化がこれほど発達したかは、いろいろな論がありそうですが、私は日本人が根本的に持っている幼児性指向みたいなものの反映ではないかと思ったりするのです。
日本人の幼児性といってもにわかには同意してもらえないかもしれませんが、それでも人々が好んでマンガを読んだり、女性がキャラクターグッズを集めていたり、10代のアイドル歌手がもてはやされたりするのを見るとそんな気がしてしまいます。
子供は社会性がまだ低いので大人がいろいろな場面で注意してあげる必要があります。そう考えると、子供に注意してあげるような余計なお世話的仕組みというのが、社会全体で見て結構多いと思います。横断歩道をはじめ、交通関係など、繰り返し繰り返し注意を促すような音が出されます。「クルマがバックします」とか「左に曲がります」とか、そんなことを言いながら走っているトラックも時々あるし、電車内でも、映画館でも、演奏会でも必ず「ケータイの電源は切ってください」とか、まめに注意されます。まあ、それで気が付いて切ることも多いわけですが、こういった公共の場での過剰な注意は、あたかも学校で先生が子供にこんなことはしちゃだめよ、と教えているような気にさせられます。
そもそもケータイがこれだけ爆発的に広がるのも日本っぽい。しかも、各社が矢継ぎ早に入れる機能というのは、着メロ(最近は歌まで歌う)だったり、毎日キャラクターをダウンロードする機能だったり、ゲーム機能だったりします。ケータイそのものの機能アップというより、子供向けとも思える遊びにつながるものばかりです。カメラ付きケータイもビジネスの場よりはプライベートで使うことが前提となっているはず。同じような小型デジタル機器でも海外ではビジネス向けに使われるPDAはそれなりに売れていますが、日本ではあまり売れません。

私は日本以外に住んだことはないですが、それでも自分の印象ではヨーロッパなど大人の文化の香りがします。
むしろ子供っぽいことが恥ずかしいと思うような感覚です。映画など見ても、何か独特の雰囲気を持っていたりします。
ヨーロッパに比べると、アメリカなどは若者の文化という感じです。アメリカ文化から感ずるある種の激しさ、暴力性、安直なまでの正義感みたいなものは若者に由来するものではないかと思います。

音楽の世界で言えば、それでもポップスやロックが商業的音楽の中心ではあるわけですが、依然クラシック音楽の中心地はヨーロッパだし、日本で売れている音楽というのはアイドル系の歌謡曲といったところでしょう。
実際のところ、日本では大人になると音楽を聞かなくなってしまう人が圧倒的に多いように思います。学生時代なら同年代の歌手のアルバムを良く聞いたりしますが、年を取るにつれ市場に聞きたくなるような音楽が無くなってしまうのです。せいぜい、自分が若かった時代の曲を聴いて、「いやあ、あの頃の音楽の方が質が良かったよなー」などというのが関の山です。どうも、年を取ってから聴く音楽というのは、昔流行った曲を聴いてあの頃は良かった、と思うためのもののようです。

何度聴いても飽きない新鮮さがある、そういう音楽こそ大人の音楽たるゆえんだと思います。
いたずらにヨーロッパ礼賛するわけではないけれど、大人になって文化の担い手であることを放棄してしまう日本人が、少しでもそういった文化の魅力に気が付いて欲しいと思うのです。

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