いきなり結論なんですが、やっぱり生の音楽が一番いいんです。
自分が書いた楽譜を生で演奏してもらったとき、やっぱり望外の喜びがあります。それは、何人かの人が自分の作品のためにわざわざ練習して、演奏してくれたという気持ちだけではなくて、実際に音を生で聞いたその音像そのものに感激するのです。合唱の場合、耳が肥えてしまったせいもあり^^;、その度合いは若干減るものの、それでも生の音響で聴く音楽というのは、それだけで人の心を揺さぶる何かが絶対にあります。
自分が初めて合唱に快感を感じたのも、恐らくそんな経験から来ているのではないかと思うのです。決められたスコアどおりに歌えば、それらが有機的に結合し、大きな意味のある音が生まれる、そんな快感が音楽のアンサンブルにはあります。
前置きが長くなりましたが、私のこのサイトではいくつかのMIDIデータが聞けるようになっています。
もとよりMIDIの表現力は生に比べるべくもありません。しかし、パソコンで音楽を聴く人は、そんなことを考慮してくれるはずもなく、チープなMIDIの奏でる音楽を聞いて、「なんかつまんない音楽だなあ」なんて思ってたりしないだろうか、とすごく不安になってしまうのです。
これは、実際にMIDIの打ち込みをしたことのある人なら分かってもらえると思うのですが、例えば自分の大好きな音楽を打ち込みで再現したいとき、ベタ打ち状態(テンポもボリュームもほとんどいじらず、音符だけを入力した状態)だと目も当てられない、つまらない音楽にしかならないものです。
ここから、どれだけ時間をかけて、こまかくテンポを揺らしたり、ボリュームをいじったり、タイミングをずらしたりするか、によってMIDIデータが少しでも聞けるレベルになるかが変わるわけですが、もうこれはDTMマニアの世界です。
私のように作曲の道具に使っている程度だと、はっきり言ってそこまでやる気にはなれないし、実際、MIDIを作曲、編曲、あるいは教育などのツールとして使っている人なども同じような想いを感じていると思います。
以前もMIDIについての談話を書きましたが、MIDIそのものの敷居の高さもあり、実際には多くの人がMIDIについて理解してはいないし、パソコンで簡単にMIDIが聞けても、その音楽のショボさがどこに由来するのか気付くべくもありません。
私としては、仕事でもこの世界に関わる身として、いろいろと思うところがあるのですが、実際のところ、多くの人がMIDIを理解して使いこなしてもらうような方向に市場が向いていないのは確かなのです。現在の電子楽器にはたいていMIDI端子はついていますが(もっとも最近はUSB端子でMIDIをやり取りします)、MIDIを活用しているのは、ポピュラー系の音楽製作の用途がほとんど。これらはDAW(Digital Audio Workstation)と呼ばれるシーケンス&波形編集ソフトをホストアプリとしたシステムの中で使われるのが今のトレンド。
MIDIが依然こういった市場向けにしか考えられていないのは残念なことで、私は結構、楽譜をベースとしたクラシック系の音楽にももっとMIDIが使われるようなシチュエーションは存在すると思っているのですが、あまり一般にはそうは考えられていないようです。
合唱で言えば、MIDI音源による音取りテープの作成なんて活用法があります。私は大学時代、選曲のために、当時のシーケンサで合唱曲を何回か打ち込んだことがあります。今は、当時よりずっと楽になっていますし、合唱団でMIDIによる音取りテープを作るというのも、そこそこ広まっているように思いますが、それでも、もっとMIDIの使い勝手や表現力が高まれば、さらに使われるようになると思うんですけど・・・。
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