KAGAYAという方が作っている「銀河鉄道の夜」の上映を見ました。
内容自体は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の世界に興味を持ってもらうようによく出来ていますし、何しろ美しいCGがとても幻想的で、多くの人がひとときのエンターテインメントとして楽しめる内容になっていると思います。
プラネタリウムについてはかなり前に一度書いたことがあります。
これも15年前に書いたものなんですが、このときにも書いた通り、私は大昔の単純に星座を紹介していたプラネタリウムのあり方にとても郷愁をおぼえるわけです。
確かに、技術が古かった当時を懐かしく感じ、それ故に現状に寂しさを感じるというのはよくある話なのですが、それ以上に、やはり現状のプラネタリウムの番組上映の現状は、やや歪んでいるのではないかという気持ちを拭うことが出来ません。
◆
今でもプラネタリウムは科学館のような場所で上映されます。
科学館という場所は、多くの人々に科学に興味を持ってもらうようにいろいろな展示や、参加型のイベント、各種上映などを行っています。
実際のところ、そこに来る人に科学に興味を持ってもらうため、どのように展示品を見せたら良いのかというのは大変難しい問題なのですが、最終的に科学館ではお客様に何らかの科学的啓蒙を与えることが目的だと思うわけです。
アトラクションや展示が面白おかしくあることは、簡単に楽しみたい入場者にとって嬉しいことですが、結果的にお客様に科学的啓蒙をほとんど与えないのであれば、それはやはり本来の機能を果たしていないような気がします。
プラネタリウムは20年ほど前から、ランプとレンズが山ほど集積された黒い固まりの機械から映画のような上映装置に変換されていきました。
また、お客さんが見やすいように、観る方向が一方向に固定され、天球がやや傾いて映写されるようになったように思います。おそらく映写装置が標準化されたのでしょう。
それ自体は技術の進歩だし、良いことだと思います。
しかし、半円のスクリーンで映写する内容はだんだん遊園地のアトラクションのように変化し、星の紹介はプラネタリウムだからと申し訳程度に行うようになってしまいました。
星を見ることは基本的にロマンチックなことです。
ですから、ロマンチックな気持ちになることを目的にするならば、もはや小賢しい星の紹介など必要ないのかもしれません。
ですから、それがプラネタリウムだと思わなければ星の紹介がなくたって良いのかもしれません。
◆
であれば、単純に星の紹介だけをするもっと硬派なプラネタリウムがあっても良いのではと思います。いや、実際あるのかもしれませんが・・・
私はプラネタリウムが科学的啓蒙より多くの人にロマンチックな体験をしてもらうためのアトラクションになってしまうことは商業主義的だから良くない、などと言うつもりはありません。なぜなら商売することを否定したら、世の中が成り立たないからです。
むしろ各地の科学館が右向け右して、似たような番組が全国のプラネタリウムで上映されているこの状況においては、むしろ硬派なプラネタリウムが商業的に成り立つ可能性はないだろうかという気もするのです。
プラネタリウム自体は小さくても構いません。
が、必ず季節の星座を紹介し、直近の天体ショーについて説明し、場合によっては星座にまつわるギリシャ神話を紹介し、おシャレでややマニアックな音楽をかけて、外に出るとちょっとしたカフェなどついていれば良いでしょう。
こういう場所なら、ちょっと通ってもいいよなあと私は思いますが、いかがなものでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿