私が敬愛するブロガーちきりんさんの新著。
一見するとハウツー本のような、こういう本をふだん買うことは無いのですが(失望することが多いので)、この本はそれらのハウツー本とは一線を画していると思いました。
一つには、ハウツー本というのは、学者や有名な識者が片手間に書いているようなものが多く、しかも同種のような本を量産していたりすると、内容はどうしても薄くなってしまいます。
逆に、ロジカルシンキングのような学術的な内容になると、どうしても腰が引けて気軽に読めなくなってしまいます。
この「自分のアタマで考えよう」は、上記のような二つの欠点を補完しており、具体例が豊富で読みやすく、かつそこから一般的な教訓を引き出すという内容の深い一冊になっていると感じました。これはオススメです!
レベルの高い思考は、常に抽象性を纏ってきます。
今問題になっていることを解決するために、より一段高いレベルの思考をして、状況を俯瞰することが必要だし、そこからこの問題だけに留まらない一般性のある解法を抽出できるかが、非常に大事だと思うのです。
しかし個別の学術的な話題について非常に深い造詣を持っているような才人でさえ、どうして一般的な話題になると、こんなに俗っぽい発想しか出来ないのかなあ、と疑問に感じることはあります。
この本を読んで思ったのは、狭い世界での解法には詳しいのに(恐らくこれまで知識ベースで解決してきた)、そういう人たちは一般性のある思考力が弱いということ。まずは、身の回りのそんな人たちに読んで欲しい、と密かに痛切に感じました。
自分に役立った内容としては、グラフや表の作り方、使い方のあたり。
これまで私は、他人を納得させるために、正しく論理的な文章をずっと書こうと思い続けてきました。しかし、書けば書くほど後の自分でさえ理解できないような文章を書いていたりして、これじゃ他人に理解してもらうのは難しいよなと反省することは多々あります。
要は、これまで私はあまり図を書かずに過ごしてきたと感じました。
最近入社してきた若い人たちが作った、まるでスティーブ・ジョブスのように、大まかな図と一枚に2〜3行しか書いてないすっきりしたパワポを見ることがあって、今やついつい字をたくさん書いてしまう私たちのほうが、よほど遅れたオジさんに見えるだろうなあ、と思ったりします。
書くことを切り詰めるからこそ、一番大事なことが何なのか抽出する必要が出て来ます。今我々が必要なのは、こういった思考なんですね。
いろいろなことを並置して「さあ、どうしましょう」となった後、皆が黙り込む、ことのいかに多いことか。
ということで、この本を読んで、もう少したくさんグラフを書こう、と気持ちを新たにしたところです。
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