2011年7月18日月曜日

合唱団の並び その2

パートの配置の続き。
Narabi2
ちょっと特殊な形を3つくらい考えてみました。

最初はサンドイッチ型。
イベントなどでオケ付き合唱曲の演奏企画を行い、合唱団員を公募すると、大量の女声が集まります。男声は何とか近場の合唱団からかき集めたりしますが、それでも全然女声に対して人数の比が悪い場合は良くあることです。
音量的には、男声は経験者をかき集め、女声は比較的経験の浅い人が多かったりで、それほどバランスは悪くないのですが、横並び型ではあまりに視覚的に不均等過ぎる場合があります。
特にオケ付きといった華やかな演奏会の場において、見栄えの悪さは余計気になるもの。
この並びは、まあほとんどの場合音響ではなく、そういった見栄えの悪さを解消するための並びと考えて良いでしょう。
また、ある程度の大人数合唱団になった場合(経験が少ない人も増えるので)、パート間のアンサンブルの乱れより、パートが揃わないことのほうが問題になります。そうした場合、なるべく各パートを正方形に近い形にした方が各人の距離が近くなり、パート内の乱れを防ぎやすくなるという効果もあると思います。

次は、両サイド高声型。
これは、たいていの場合、選曲に依存するパートの並びです。
二つの高声部が対比されたり、呼応するような音楽の場合、その音響効果を高めるためにこういった並びを取ります。オーケストラでも、第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンを向かい合わせにする場合がありますが、そういうのと発想は同じだと思います。
特に二重合唱のような場合、第一合唱と第二合唱は高声を外側にして、左右対称に並ぶのが一般的です。二重合唱は当然のごとく、二つの合唱が呼応するように書かれており、音響も左右対称である必要があるからです。
音響に関しては、ココでも書きましたが、高音ほど直進性が高くパンニングの効果が高いのです。逆に低声は回り込みが多く定位間が低くなるため、むしろ真ん中に位置させるのは理にかなっています。

最後にバラバラ型。
練習時には、周りに頼らないで歌う訓練をするため、各パートバラバラにして練習することがあります。それにより、一人一人の自覚が高まり、合唱団全体の音圧が高まることが実感できます。
この並びは、その効果を期待することが出来ますが、その代償も相当大きいです。少なくとも、パートによる音響効果は皆無になります。
また、視覚的にはバラバラになりますから、もはやこれは見栄えを良くするとは別の価値観で考えねばなりません。
例えば、オペラで群衆が合唱するとき、群衆はSATBには分かれませんし、群衆の感じを出すために、敢えてバラバラに配置させるという手はあります。そういう意味では、この並びを選択するのは演出という行為に近いとも言えます。
パートの分離効果は全く無いので、音楽的にはホモフォニックな曲が良いでしょう。
例えば、祝祭的なイベントの場で、民謡を比較的簡単なアレンジで(民族衣装などを着て)、一人一人が語りかけるように歌うようなシチュエーションなどでは有効かもしれません。

パート並びについては、楽譜に具体的な指示がある場合もありますし、他にもいろいろなバリエーションがあると思います。とりあえず、私が思い付いた5つの形について論じてみました。

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