2011年7月16日土曜日

合唱団の並び その1

たまにはごく一般的な合唱の話題など。

合唱団の並び方については、いろいろな方法やそれにまつわる考え方がありますが、今回は、私自身が並びについて考えていることをまとめてみようと思います。あくまで私見ですので、ご意見あればコメントや掲示板などでお話しできると嬉しいです。

まず合唱団の並びの議論は、大きく三つに分けたいと思います。
1.パートの配置
2.全体の形
3.パート内の配置
です。

ということで、まずはパートの配置について。
パートの並びで重要な要素は、ざっくり言ってしまえば「見た目」と「音響」。
一応芸術活動ですから、人間が大量に並んだときの見栄えというのは、それなりの美観が必要だと思われます。特にパートの並びについては、混声の場合、男声と女声の差は圧倒的なので、この境目をどこに持っていくか、が美観上のポイントとなるでしょう。
音響については、演奏する曲に大きく依存しますが、特に時間ズレの効果(ポリフォニー、フーガと呼ばれるような)がある場合それを立体的に示してあげる必要があります。そのとき、並びがその音響に大きな影響を与えるはずです。

Narabi1

では、具体的な並びについて。
一般的には、混声の場合、上記の二つの並び方が多いように思います。
この中で、最もオーソドックであり、また音響効果が高いのは横並び型です。
特に各パートの場所が完全に分散されており、そのパンニングの効果はほぼ完璧に近いです。合唱曲は古くからポリフォニーの効果が多用されており、そのような立体音響をもっとも完璧な形で表現できます。また、女声、男声の対比なども効果的です。
ただし、問題なのは美観。多くの合唱団では、男声より女声の方が多いので、アルトとテナーの境目は右寄りになります。ある程度ならまあ許せますが、6:4を超えるくらいになると、ちょっと気になります。
視覚は演奏の印象にも大きく影響を与えます。男声が少なく見えると、それだけでバランスの悪い音楽に思えてしまうかもしれません。
また、ベースにとって女声、テナーにとってソプラノは隣り合っていません。女声も同様。こういった距離感がアンサンブルの乱れを起こす可能性もあり、特に少人数アカペラの場合、音楽の揺らぎの幅も大きくなるので、この距離感はときに致命的な破綻を引き起こすことがあります。
一般的には、男女比がそれほど激しくなく、人数が大きめの合唱団なら、ほとんど迷い無くこの並びでOKでしょう。

次に良く見るのが、前後型。
ほとんどの場合、男声が後ろ、女声が前という形を取ります。これはどのような男女比であっても、シンメトリ的には完璧で美観上のポイントは高いです。
また、各パートの距離が横並び型に比べると近くなるので、ポリフォニックな複雑な音楽などでアンサンブルの乱れを抑える効果が出てくると思います。
その代わりに犠牲になるのが音響的効果です。
各パートのポリフォニーの場合、やや音の来る範囲が広くなるので、パンニングの効果は薄くなります。ただし、残響の多いホールや、奥行きのあるホールではもともと聴衆が音響の立体性を感じづらい場合もあるので、敢えて左右のパンニングにそれほど拘らなければ、この並びはそれなりに魅力的です。
ただし、各パートが横に長くなるので、一人一人が自信を持って歌えるような実力が多少必要です。
そのようなことを考えると、30人以下くらいで男声が少なく、かつ比較的ポリフォニックな(やや複雑な)曲を、きっちりとアンサンブルを揃えながら演奏したい、という場合に効果的な並びだと思います。

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