2011年1月22日土曜日

ゆるく考えよう-人生を100倍ラクにする思考法/ちきりん

ちきりんファンとしては、本が出た以上買わないわけにはまいりません。ちなみに、ちきりんさんは有名な覆面ブロガー。ブログはこちら
ただ正直言って、著者を知らなければ、こういった自己啓発的な一種の人生論的本を、私は普段あまり買いません。そういった類の本と、この本の内容が一線を画しているのは何なのか、というのが重要なのです。

いろいろな視点があると思うけれど、私としては次のような感覚で本書を捉えました。
つまり、平凡で近視眼的な自己愛を捨てれば、より達観して別の充足が得られる、ということです。実はこれは極めてストラテジックで、思考に賢さが必要な考え方。だから、この本を読んで共感する人はもうすでにこの本で指し示す生き方をわずかながら実践している人であり、そもそもこの本を読んで考えを改めて欲しい人は、本書が言いたい本質的な内容を理解できない気がします。

もともとアイロニーのセンスに溢れた文章です。各章のタイトルだけでそれが感じ取れます。
「目標は低くもちましょう!」「人生は早めに諦めよう!」「日本はすばらしい国」「大半の保険は不要」「能力のない人へのアドバイス4つ」「結婚するもしないも個人の自由」・・・
当たり前だけど、世の中は公正には出来ていない。だから、正論を振りかざして懸命に生きようとする考え方をことごとく否定します。それはかなり痛快なのだけど、やはり社会でそのまま主張できる考えではありません。会社のような組織では、いつでも嘘で塗り固められた正論を、意に反して言い続けなければいけないのです。
そのギャップは残念ながらすぐには埋まりません。だから、せめて自分の内心だけはそういう世界から守ってあげたい、そんな生き方を説いているように感じられます。

私はあまりお金に関するリテラシーがないので、昔からなんとなくローンとか、保険とか、曖昧な不信感を感じていたのですが、そういったものに対して、私が納得する形で説明してくれているところは実際とても実用的でした。まあ、これらの内容はすでにブログで読んでいたわけですが・・・
それ以来、すぐにでも大手生保の保険を解約したい、とずっと思い続けながら、解約のゴタゴタを考えるとついつい先延ばしになっています。ああ、気の弱い私。

先が見えなければ人生早めに諦めて、自分の楽しみに時間を使おう、と主張しながら、4章を読んでいると、もっとバリバリ攻めの人生をすべきだとも読めてしまう、というアンビバレントな側面もあって、そのまま単純には受け容れられない多面的な本。
どちらかというと、ちきりんさんという世に対する広範な知識と深い洞察力をもった人の考え方を楽しむ本と、私は捉えております。

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