2009年5月10日日曜日

日本語を伝える-母音の色で言葉を作る

何しろ母音の色は5つしか無い、なんてことは無いのです。言葉によって、文脈によって、そのときの表現の仕方によって、常に発音は変化するはずだし、それを前提に音楽作りをすべきです。
ところが長い間合唱をやっていると、何となく自分が歌う音色が凝り固まってきて、どんな言葉を歌っても、決まりきった発音になりがちです。こういうのはボイトレとかやっても、発音記号としての母音の練習しかしないので、言葉の中の発音というのがどうしてもおざなりになってしまいます。
言葉が浮き立ってこないのは、母音の色の変化の弱さに起因しているのだと思います。変化を付けようとするなら、言葉を何度も反芻して抑揚や音色をきっちり意識するしかありません。

そのために歌詞を一度、話し言葉の発音に立ち戻って、皆で朗読をする、というのは一定の効果はあると思います。さらにその後、リズム読みして、テンポの中で言葉を作っていくとなお良いでしょう。
しかし、学生ならそういった練習もある程度やり易いだろうけど(国語の先生も居そうだし)、なかなか大人にきちんと朗読させるのは難しいかもしれませんね。そもそも、朗読そのものが下手なので、何を練習しているのかわからなくなりそうです。
ただ、昨今の日本の合唱では、均一な音色で、むらなく均等に響かせることを良しとする価値観がやや強いと感じます。宗教曲などはそういう価値観はある程度必要なのですが、同じ歌い方で日本の曲を歌うと抑揚の無い無表情な演奏になってしまいます。
日本人だからこそ日本語の言葉の強さをもう一度再確認し、その強さをそのまま歌にして表現したいのです。逆に今は、日本人だからテキスト読めばわかるじゃん、になっていないでしょうか。
私には、アマチュア合唱では、発声より発音のほうがよほど重要じゃないかという気がしているのですが・・・。

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