おなじみの「仮想楽器のためのアンサンブル」シリーズ、第11番をYouTubeにアップ。
あらためてこのシリーズの説明をすると、具体的な楽器を指定せずに音域さえ合えばどんな楽器で演奏してもいいよ、という趣旨で作曲しています。
楽器を特定すれば、その楽器に特有な奏法や、特徴的な音色を想定して作曲することになります。逆に楽器を特定しないことによって、音響よりも音組織に重きを置いた曲を作りたいと考えました。ですから、このシリーズを演奏するには音色の統一が取れている同族楽器のアンサンブルが好ましいと考えています。(詳細はコチラを参照)
もう一つ、私がこの一連の作曲で考えていること。
それは、現代のクラシック系の器楽曲の作曲の現場が、おおよそ一般の人には聞き慣れないような音楽ばかりであることに対するささやかな抵抗です。平たく言えば、妙なゲンダイ音楽より、良く聴かれる音楽をベースにしたほうが気持ちいいよねっていうこと。
もちろん、(私にとって)やや実験的な音使いもすることもありますが、基本は普通の人が聴いて気持ちいい、ということを忘れないように、というのが私のスタンスです。
さて、今回の11番。
大きな特徴は、楽曲形式です。今回はソナタ形式に挑戦しました。これまで変奏曲的な構造が多かったのですが、変奏曲では音楽がカタログ的に、また断片的になります。今回は、楽曲全体にもう少し大きな物語が作れないか、ということで大規模な形式を選んでみました(厳密にはややルール違反なソナタ形式ですが)。結果的にトータルで9分強と、少し長めの曲になってしまいました。
簡単に構成を説明しましょう。
序奏無しで、まずいきなり第一主題から始まります。同様のメロディを繰り返した後、6/8の第二主題。展開部は、第一主題の要素を使って動→静という流れを作った後、第二主題に第一主題の要素を絡めて次第に大きく盛り上がります。再現部は、冒頭をほぼなぞって、第二主題の後シンプルなコーダで曲を締めくくります。
それでは聴いてみてください。
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