2008年9月17日水曜日

アカペラの面白さとは4

よく音楽の三要素などと呼ばれるのが、メロディ、ハーモニー、リズム。
以前は、音楽をこんなに単純に割り切ることは出来ない!とか、マジメに思ってましたが、なんだかんだ言って大雑把に音楽を捉えようと思えば、こういう切り口はなかなか便利なものです。
さらに、この三つの要素を無理矢理、人間の体に当てはめてみると、メロディは顔、ハーモニーは上半身、リズムは下半身って例えはいかがでしょう。今どきの音楽の作られ方を良く象徴しているとは思いませんか。

確かに音楽が発展する過程は、音楽の持ついろいろな要素が上記の三つに分化する過程であったのかもしれません。
ある意味、メロディ、ハーモニー、リズムという三要素を最も意識して作られている音楽は、ポピュラー音楽ではないかと思います。中でも、この三つの要素をそれぞれ分解して、とことんまで探求しているジャンルはジャズではないでしょうか。インプロビゼーションは究極のメロディ性の追求とも言えるし、複雑なテンションを持つコード理論はハーモニーの追求。リズムもスイングを基調としながら一聴しただけでは分からないような手の込んだパターンも良くあります。
ピアノ伴奏+メロディといった音楽は、ピアノが体の例で言えば顔以外の要素を作ってしまいます。ピアノ伴奏付き合唱の場合でも、せいぜい合唱部分は「顔」と「手」くらい。胸から下はピアノが担当しているといってもいいかもしれません。

これがアカペラとなると、全てのパートがあるときはメロディであり、ハーモニーであり、リズムです。体で例えれば、音楽全体が頭から足の先まで声という楽器で表現されるわけです。
逆にポリフォニーの場合、全パートがメロディとなります。これはまるで頭だけが四つある状態(ちょっと気味悪い)。バリ島のケチャなんかだと、全パートがリズムと言えるかも。(ということは四つの下半身・・・?)
つまり音楽の機能がメロディ、ハーモニー、リズムに分解される前の、未分化で原始的な状態の音楽にも成りうるし、そういった表現が逆に全く新しい表現世界を作りだす可能性だってあります。

ちょっと論点が広がってしまったけれど、伴奏楽器の無いアンサンブルはそれぞれのパートが様々な音楽機能を担当することになります。特定の機能だけに習熟するのもそれは重要なことではあるのだけど、音楽の様々な機能を一つのパートが担当しうるそのスリリングさは、やはりアンサンブルの醍醐味の一つのように思います。
これは主に演奏する側の楽しみなのかもしれませんが、あるときはメロディ、あるときはハーモニーの一部、そしてあるときはリズミックに音楽全体を先導する、といった音楽の多面的な楽しみをアカペラ音楽では体験できるのです。

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