アフタースクールを観た後、この監督の作品が気になって、前作のデビュー作「運命じゃない人」をDVDで鑑賞。
これまた、むちゃくちゃ面白い映画でした。トリッキーで技巧的な構成はこの監督のトレードマークなのですね。涙を流しながら笑いつつも、一つ一つのネタの仕込み方、全体の辻褄のあわせ方に唸らされてばかり。かなり低予算で作られたようですが、脚本の良さと演技の面白さでここまでのクオリティの映画が出来ること自体、日本映画では奇跡的ではないかと思ってしまいます。
ストーリーを紹介しようと思うのだけど、これが難しい。最初はほのぼの恋愛映画かと思わせつつ、中盤からやくざとか出てきて一気にきな臭くなってきます。
構造的には、このストーリーは全部で三つの部分に分かれます。各部分は、全てある一晩の出来事を語っているのだけど、それぞれ別の人物の視点で同じ時間が三回なぞられるのです。
だから、全く同じシーンが何回か現れます。ただ、同じシーンなのに違う人の視点で見ると、全く違う様相を帯びてきます。三人目の部分になると、「えー、あのときあそこで・・・だったの!」とか、「実はこのとき・・・だったんだ」とか驚きの連続。
もう、技巧的の一言。わりと無名な役者ばかりなんだけど、それぞれの演技がまたうまい。そう思わせるだけのリアルな脚本なのかもしれません。
どうも、私はこういった練りに練った技巧的で、細かいところまで辻褄が合っている論理性をベースに持っている作品とかが好きなんですね。だけど、そういう作品って、技術的なだけでなく、気持ちの落としどころとか、ちょっと心に残る部分とか、情緒的な部分も決しておざなりにはしていないように思うのです。
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