2006年11月8日水曜日

ラビリンス/スティング

Stingロック歌手スティングが古楽に挑戦した、というのを聞いて思わず触手がのびました。
古楽と言っても、取り上げた作曲家はジョン・ダウランドのみ(他に1曲だけ違う作曲家の作品あり)。CDのライナーノーツには、スティングがこれまでジョン・ダウランドにいろいろな機会に出会ったこと、そしてついにこのCDを出すに至った経緯が書かれています。スティング曰く、ダウランドは400年前のポップなシンガーソングライターなのです。

しかし、これはなかなか面白い取り合わせです。
だいたいルネサンス物って、オペラ上がりの声楽家が声を張り上げて歌うようなものじゃないのです。ポップ系のアーティストの中でもとりわけ味のあるボーカリストのスティングが、ちょっとハスキーな声で奏でるダウランドは、とても雰囲気があり、イギリス的暗さの漂う音楽になっていました。
実際、ダウランドの曲には物悲しいものが多いのです。ライナーノーツによれば、ダウランドは今風に言えばウツだったらしい。ボーカルとリュートだけによるシンプルな音楽の中に、そういったメランコリーが存分に詰まっています。面白いのは、アルバム全体に何箇所か、ダウランドの手紙をスティングが朗読するトラックがあること。手紙の内容は、ダウランドらしさを良く表すものが選ばれているようです。

合唱好きなら有名な「Fine knacks for ladies」「Come again」なども歌っています。かなりドラマチックな歌いっぷりに、我々も学ぶべきことは多いのではないかと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿