500万年後、1億年後、そして2億年後、地球上にはどんな生物が住んでいるのだろう。
この疑問に対して、十分な科学的検証を用いながら、未来の生物というものを空想してみたというのが本書の内容。一見、科学読み物のように見えて、そこに書かれているのは全て実在しないものであるわけで、これはある意味、大掛かりなファンタジーなのだと思いました。
この本には、一切、人類は描かれません。あくまで一つの動物種としての人間は、多くの動物と同じように絶滅しているのが前提。私たちが未来を描こうとするとき、無意識のうちに必ず人間の未来を考えるものだと思っているのだけど、そこから離れて考えると、何とスリリングでダイナミック、そして夢に溢れた未来があるのでしょう。逆説的だけど、そもそもこの本のそういった基本姿勢は、科学的にすごく健全な感じがします。
あくまで科学的、というのがミソで、時代が進むほど、現在からは想像もつかないヘンテコな生物が出現します。最終章の2億年後がやはりスゴイ。地球環境の激変で、脊椎動物はほぼ絶滅し、巨大化した昆虫が活躍しています。シロアリの末裔、テラバイツは巨大な巣を作り、その中で藻類を栽培します。
また、陸でも海でもイカが勢力を振るいます。体長20メートルの巨大イカ、レインボースクイドが身体の色を変えながら海の王者となる一方、陸に上がったイカが熱帯雨林の中で、体重8トンのメガスクイドへと進化します。
コンピュータグラフィックによる挿絵もたくさんで、空想上の動物がたくさんのイラストで楽しめるのも、本書の楽しさ。想像力への新しい刺激が欲しい方に最適。
結構流行っているようで、公式サイトも充実しているようです。
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