調号の続きということで、同じく#, bを使う臨時記号のことを考えてみましょうか。
と、ここで青島広志「楽典ノススメ」を紐解いてみると・・・この臨時記号の書き方について、いろいろなルールが載っています。この本、私はかなり好きで、普通の楽典の本には書いてないような記号の心理的側面とか、作曲家の気持ちとか、そういうのがチラチラ書いてあるのが面白い。課題のおふざけもなかなか楽しいです。
この臨時記号の書き方の項も、他の本であまり見たことないような気がします。
例えば、G->A の途中に半音を入れるときは、G->Ab->A ではなく、G->G#->A と書くべき、とか。別にこう書かなくてはいけない、という厳格なものではないにしても、こういうのを読むと、楽譜を書く者のレベルもこういうところに出てしまうよなあ、と感じてしまいます。
実際、Gの半音上の音を Gis で書いても As で書いても全然構わないのですが、そのどちらを選ぶかには、それなりの理由があるはずです。
私がよく迷うのは、タテを強調するか(和声)、ヨコを強調するか(旋律)、といったような判断。
タテで見れば、シャープで書いたほうが、和声的に分かりやすいけども、演奏者が旋律として感じた場合フラットで書いたほうが演奏しやすい場合もあるかもしれません。もちろん、ケースバイケースなのでどちらが良いとは言えないでしょう。
それから、調号を付けないような曲でダブルシャープやダブルフラットを使うものかどうか、とか。そこで調号を付けないと判断したなら、調性を強調するダブルシャープなんかあまり必要無いようにも思えます。もちろん、旋律の形にも寄るとは思いますが。だいたい、完全に無調な曲なら、臨時記号は全部シャープだっていいのかもしれません。
まあ、書くほうもそんな風に迷ったりするわけですから(多分)、たかだかシャープ、フラットとはいえ、迷った末の何らかの意思が入っているはずなのです。
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