よくパーティグッズなどで、ヘリウムガスを吸って、変な声になるやつありますよね。
最近ちょっとした折にそんな話をしたのだけど、そのときは何も疑問を持たず、ヘリウムガスを吸って歌うと音が高くなる、と思ったのです。
しかし、よくよく考えてみるとどうにも理屈が合いません。
ヘリウムガスは比重が軽いので、音速が速くなる、とそこまではいいのですが、音速が速いとピッチが高くなるというのはちょっとおかしい。もし、仮にピッチが2倍高くなるのであれば、2秒間の歌が1秒間に短縮されなければいけません。でも、ヘリウムガスを吸って話すと、しゃべるスピードまで速くなるわけじゃないですよね。
ネットで検索してみると、怪しい説明がたくさん。
音速が速くなるが、波長が変わらないから音程が高くなる、などと書かれた説明もありましたが、そんなバカな。音速が速くなればその分波長が長くならなきゃおかしいじゃないですか。
もう一つ、面白い話もありました。ヘリウムガスの中で音を鳴らすと、ピッチが変わるものと変わらないものがあるのです。ギターやラジカセはピッチは変わらない。でもリコーダーはピッチが高くなります。確かに、リコーダーの場合、音速で気柱の長さが変わるからピッチは高くなりそう。
そんなわけで、ヘリウムガスで人の声が変わるのは、声のピッチが高くなる、というような単純な話ではないということにようやく気付いたのです。
・・・というわけで、私が得た結論。
簡単に言えば、ヘリウムガスを吸ったときには、ピッチではなくて、音色が変わるのです。
人間の声は、声帯が振動して音の元を作りますが、その音は身体で共鳴して大きくなり、口や鼻の中で音色が作られます。口や鼻で作られる音色は、母音ごとに周波数特性が違っていて、そういった特性のことをフォルマントというのですが、ヘリウムガスを吸うと、そのフォルマントが高い周波数に移動するのです。
結果的に、声の倍音構成が高い方に変わります。そのために聴感上は音が高くなって聞こえてくるのでしょう。そして大事なことは、いくらヘリウムガスを吸ったとしても、声帯が出している基本ピッチは変わってはいないのです。
音速は空気(媒質)の密度の平方根に反比例していますので、質量の軽いヘリウムでは密度が低下し、結果として音速が増しているのではないでしょうか。音波長は共鳴する長さがありますが喉その他の楽器の長さが変化するわけではありませんので、結果として振動数が増えることになると思います。
返信削除それは気柱によって発音する管楽器の場合の話ではないかと思います。管楽器の場合、確かに音速が速くなれば、気柱は短くなるので音程は高くなるはずです。
返信削除人の声は、あくまで音そのものは声帯から発生しており、喉や鼻でやっていることは、音の加工(周波数特性の変更)なのです。ピッチも声帯の振動が決めています。そういう意味で、声は自然楽器というよりシンセサイザーに近い感じがしますね。
今のところの私の理解はこんな感じです。