すっかり読書感想文ブログと化しています。^^;
今日の本は、今流行り(?)の恩田陸。基本的に私が好んで読むようなタイプではないわけですが、何となく気になって読んでみました。しかも、この小説、結構実験的な作りになっているんです。そういう意味では楽しめたし、この作家の底力を感じることができました。
内容は、とある地方都市で起きた17人が死亡した毒殺事件の真相が、章毎に関係者のモノローグで段々明らかになっていくという流れになっています。章毎に語る人物が違い、それぞれが扱う時間も違います。読者は、時系列に事実を感じていくのではなく、一つの事件の像が、章毎に少しずつクリアになっていくという体験をしていきます。しかし、それは決して難しい作業ではありません。良く考えてみれば、第三者がある事件を調べる作業というのは、ほとんどこういうパターンになるわけで、そういう意味ではこの小説の構造は非常に面白い試みと言えるでしょう。読者自身が、謎解きをしていく主体になった気分を味わうからです。
ただまあ、私としては、この作家が基本的に持っているファンシー的雰囲気が、ちょっと気恥ずかしかったです。ありていに言えば少女趣味的な感じ。あらすじから感じる事件の異常さ、陰惨さは、少女趣味に覆われ、おとぎの国の出来事のようにさえ感じます。少女趣味の手にかかれば壮年でやり手の刑事さえ、折り紙の名手となってしまうのですから・・・。
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