2004年12月18日土曜日

ゲノムが語る23の物語

041218
遺伝子関係の科学読本。
人の持つ23本の染色体が、それぞれの章になっていて、その染色体内にある遺伝子をネタにいろいろな話題を提供するという体裁がなかなかセンスが良いのです。
とはいえ、なかなかヘビーな一冊です。いろいろな面白いことが書いてあるにもかかわらず、夥しい専門用語の数で(ちゃんと説明されてはいますが)正直言ってなかなか頭に残らないのが悲しいところ。
しかし、これを読んで思ったのは、遺伝子の仕組みがまるでデジタル信号を扱うコンピュータのようなものだということ。何億年もかけて生命は自然とこのような仕組みを作り出したというのはまさに脅威。とはいえ、今では用をなさなくなったジャンクDNAであるとか、複製の際のコピーミスであるとか、実際の遺伝子の動作は完璧というわけではなく、これが病気や老化や、あるいは進化の原因であるわけで、この辺りを理解しようとすると相当ヘビーな内容になってきます。
「利己的な遺伝子」でもあるように、全てのコピーの最小要素は遺伝子であり、遺伝子一つ一つが利己的に振舞う、と言う考え方は、具体的な例でいろいろ示されます。ジャンクDNAである用をなさない遺伝子が人の遺伝子に寄生していたり、父譲りの遺伝子と母譲りの遺伝子間で闘争があったり、一つの個体の中でさえ、各遺伝子同士が自分を残そうと躍起になっているのです。
この他、遺伝子と知能の問題、個人の識別の問題、遺伝病の話、遺伝子操作にまつわる倫理的な話、と様々な話で構成されています。

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