2004年4月18日日曜日

合唱ビジネス

合唱を取り巻くビジネス環境についてちょっと考えてみましょう。
とはいっても、実際にそういう世界の内部にいるわけではないので、少し的を外した話もあるかもしれませんが、お許しを。

ビジネスである以上、儲けが出なければ始まりません。儲けが出るということは需要があるということであり、そこそこの大きな市場である必要があります。
合唱の世界で需要のありそうな分野といえば、私の想像するに、まず歌謡曲等の編曲作品だと思います。日本の合唱団全体の数からいえば、多くはママさんコーラスでしょうし、そうでなくてもカルチャーセンターやPTAの集まりでも歌を取り上げることも多いでしょう。最近だとゴスペル、アカペラ繋がりで歌を始める人も多いかもしれません。実際に、新刊楽譜を見れば、編曲の市場はそれなりに大きいことは伺えます。
入り口は何であれ、合唱人口が増えることは良いことです。ここから入った人がさらに合唱の世界に親しんでもらうためには、編曲の質の向上は必要です。質が高いとは演奏が難しいということではありません。合唱の特性を把握し、合唱で最も気持ちよく響くような編曲であることが望ましいことは言うまでもないでしょう。作り手も、また供給側も、合唱オリジナルの世界よりレベルの低いものと捉えずに真摯にこの市場を見つめなおすなら、もっと拡がりが見込めるような気がしています。
ただ、この世界、指導者自体に怪しさがあるという話もあるかも・・・

次に大きな市場はやはりコンクールでしょうか。特に中学、高校。
コンクールの功罪を云々するならば、この市場性を語ることはどうしても必要になります。儲けになるなら、そこに人は群がるからです。コンクールをすれば、関連書籍(楽譜、ハーモニーなどの機関紙)もそれなりに出ますし、講習会、ボイトレ、ピンポイントの指導や審査員への謝礼、また演奏の音源(特急CDとか)等など。
ビジネスという意味では、もう一ひねりすれば、コンクールに対して面白い商品・サービスというのも成り立つかもしれません。団員一人一人を狙うモノか、団に一つあればいいモノかにより市場規模は違うでしょうが、大きな市場であることは確かです。(例えば、喉を保護するための「合唱用マスク」とか^^;)

ところで、合唱楽譜の市場性とはどんなものでしょう。
私の想像では、オリジナル合唱曲は、ほとんど採算が取れないのではないかと思います。例えば、1500円の楽譜を1000部売っても売り上げは150万円。卸値にして、印税、紙の原材料費、印刷代、それから浄書等の制作費(これはバカにならないでしょう)を引けば一作品あたりの利益はどれくらいになるでしょうか。
1000部というのは少ない設定と思われるかもしれません。もちろんある程度売れる楽譜ならいいですが、その一方で圧倒的な数のほとんど演奏されない曲というのはあります。下手をすると1000部だって出ません。おまけに、合唱団単位で楽譜をコピーなどされれば、メーカにとっても大変な痛手です。
実際のところ、この程度の数量だと、演奏会情報から、合唱団できちんと楽譜を買ったかどうか、コピーしたかなんてある程度わかってしまいます。本気でコピーを防ぎたいのなら、そこまで調べてもよいような気がします。
上記のようなことを考えると、メーカー側もだんだんとモノを作らない仕組みを考えるようになります。それが、昨今流行のオンデマンド出版ということになります。これなら、楽譜制作費だけで済み、売り上げからコストを引いた利益が制作費を超えれば儲けになり、在庫の不安を感じる必要はなくなります。

だからこそ、この辺りはもう少しメーカー側が工夫すれば、面白い商品を作れると思うのです。
オンデマンドなら、組曲の中の一曲だけ、ピースにして売ってもよいし、楽譜の表紙の色なども合唱団の要望に答えるなどのサービスもありでしょう。またその会社が持っている版権内なら、望みの選曲による愛唱曲集の制作なども出来るかもしれません。つまりオンデマンドからもう一歩進んで、オーダーメイドという発想にしたらどうかということです。
そのために、楽譜売り場にはサンプル品だけ置いて、各店でオーダーメイドが発注できるような仕組みも必要になるでしょう。

お客側だけでなく、楽譜メーカ同士の関係として、例えば版権自体を売買するような市場とかはあり得ないでしょうか。各社が、売れ線の組み合わせ楽譜を出すために、他メーカの版権を買い取るなんていうことはあったりするのでしょうか。

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