全部というわけではないけど、結構見てました。フジテレビでやっていた「白い巨塔」。
最初はなんだか、それぞれのキャラがステレオタイプな人物像のように感じていたけど、だんだんとリアルな感じに思えてきて、なかなか楽しめたテレビドラマだったと思います。
際立ったキャラと言えば、やはり主人公の財前五郎(唐沢寿明)。
出世をすること、そして権力を得ることこそ自らの生きる目標だと考え、その目的のために一途に行動する極めて上昇志向の高い人間。いまどき、こんな見え透いた行動を取る人っているか、と私には感じられるのだけど、もちろんテレビだから極端にするというのはあるけど、意外といるのかもという気もしてきました。
私はメーカーの技術屋さんですが、こういう職場には、あまり財前的な人間はいないのでしょう。しかし、実際に世の中に起きている事件とか見ると、そんな世界もあるのかなあ、という気になってきます。
もちろん、社会の中で生きている以上、なんらかの上昇志向的な気持ちは必要だとは思うわけですが、その気持ちが過剰になると、他人を蹴落としたり、お金で買収したり、手下をコマのように扱い、上におもねるような態度を取ったりするようになる。そういう行動が、典型的に描かれていて、こりゃ誰が見ても嫌われる奴だよなあ、と私には思えるのですが、そうでもないのでしょうかね。
その対極が、財前の友人である里見脩二(江口洋介)。
これもまた極端です。自分の所属する組織に背いてまで、正しい事を曲げようとしない正義の象徴のような人物。これなどは、会社で行われている不正行為などを、自分が見て見ぬふりをできるのか、そういう問題提起を私たちに対して与えているのかもしれません。
しかし、そのために自分の社会的地位が危うくなるのなら、普通は組織に背きませんよね。特に日本的な社会なら。
もっとも今なら、匿名で内部告発というのもアリなので、昔に比べれば多少は精神衛生上良くなっているのかもしれませんが、なかなか職場の人間を敵に回すような行為はそう簡単にはできないでしょう。
このある意味、極端な二人が、なぜか学生時代からの親友で、反発しあいながらも、結局お互いが一番気になる存在だというこの設定、なんとなく女性の視点が感じられます。
女性作家って、結構、男の友情みたいのが好きだったりして。確かに、原作は山崎豊子、脚本も井上由美子と女性ですね。(ちなみに、井上由美子って「北条時宗」の脚本も担当)
それからもう一つ、このドラマの面白さは、やはり癌の専門家である外科医が、最後に癌で死ぬ、その因果というか、誰もが死ぬ間際の財前の気持ちを考えたくなる、そういう部分にあるのかなあ、と私には思えました。
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