ひと月ほど前、NHKスペシャル「生命大躍進」でネアンデルタール人の研究者として登場した研究者が書いた本ということから、この本を知りました。
一見、学術書のように見えますが、この本は著者スヴァンテ・ペーボ博士のほぼ完全な自伝書。
ある程度、細かい研究内容も書いてあるのですが、ペーボ博士がどのような紆余曲折を経ながらこの研究にたどり着き、そして大きな成果を上げてきたのか、私生活まで赤裸々に明かしながらも、その研究生活が克明に記録されています。
そして何より、一人の優れた研究者がいろいろな状況に翻弄されながら、様々な人たちに評価され、大きな仕事を任されるようになり、そして最後に素晴らしい研究内容を世界に公表する、という研究者としてのリアルなサクセスストーリーが、読んでいてとても爽快です。
スウェーデン人であるペーボ博士がアメリカ、ドイツと世界各国の研究所からオファーを受け、実力本位で重要な地位につけるというのは、タコツボ化した日本の大学研究室の状況とは一線を画しており、そういう点で大きな羨望を感じつつ、欧米諸国のリアルな研究の現場を知ることが出来るのも本書の面白いところ。(論文を雑誌に寄稿する際の様々な駆け引きとか)
そもそも、このペーボ博士は、単なる知識追求型の学者ではなく、とてもロマンチストな方なのだと思います。
医学や分子生物学を専攻しながらも、古代エジプト研究への想いを忘れられず、ついにミイラのDNA解析を始めてしまったのが、ペーボ博士のキャリアのスタートです。
古代への憧れとDNA解析を合わせることで、専門と興味を一緒にしてしまったのです。そして博士の興味はミイラからネアンデルタール人に向かいます。
それも、やはりロマンから来たものでしょう。
数万年もの間、人間とネアンデルタール人は不思議な共生期間がありました。それについては私も以前こんな本も読みました。
その期間、お互いどんな気持ちで双方を感じていたのでしょうか?
ネアンデルタール人が最終的に滅びたのは事実ですが、だからといって単純に人間、ホモサピエンスがネアンデルタール人を駆逐したという結論とするのは乱暴すぎます。
そして、それに対する疑問の一部がDNAから明らかになったのです。
2010年、ペーボ博士のチームは長年の研究の末、ついにネアンデルタール人のDNA配列を発表します。
そして、さらに調査した結果、アフリカから出たホモサピエンスの中にネアンデルタール人由来の遺伝子が組み込まれていることが分かったのです。その遺伝子は、アフリカに残ったホモサピエンスには組み込まれていません。
つまり、ホモサピエンスはネアンデルタール人と交配、つまりセックスをしていたのです。
この感覚は、もうなんとも言えない不思議な気持ちですね。
何万年も前の人間が生きている環境も分からないし、ましてやネアンデルタール人の生態も分かりませんから、その事実が恋愛を伴うものなのかどうかもさっぱり分かりません。
でも、太古の出来事を夢想すること自体がロマンなのであり、こういう研究に心惹かれる気持ちは、私には理解できるつもりです。
今後も人類進化に関する幾つかの重要な発見もあるかもしれません。
ネアンデルタール人研究には、これからもロマンを感じながら注目していきたいと、この本を読みながら思いました。
2015年8月16日日曜日
2015年8月12日水曜日
古典調律アプリ「Meantone」を2.0にバージョンアップしました
4年前に最後のバージョンアップをしたまま放置されていた古典調律アプリ「Meantone」をv.2.0にバージョンアップしました。
ちなみにアイコンは、バロックの巨匠、モンテヴェルディの肖像です。
iOSがバージョンアップした際、Meantoneのプログラムの不具合が顕在化し、それについてiTunesでも何人かに指摘されているのは分かっていました。
ただ、iOSのバージョンアップのスピードが速すぎるのと、ここ数年、Make系の活動に夢中になっていたこともあり、申し訳ないと思いつつもなかなか手がつかずにいました。
昨年Appleから新しい言語Swiftが公表されましたが、今後iPhoneで何かやるにはどうしてもSwiftの知識が必要になるだろうし、これを機会にちょっとSwiftの勉強をしてみようと昨年から考えていました。
また、仕事でやっているわけでもないので、この際Objective-Cからきっぱり足を洗って、過去のソースも全て捨てて(一部捨ててませんが)、プログラムを書き直してみようと思い立ったわけです。
そんなわけで、有料アプリを買っていただいた方々のためにも、まずこのアプリをSwift化しようと考えました。
コンピュータ言語を語れるほどの専門知識はありませんが、Swiftはある意味Objective-Cと逆の方向性を持った言語のように感じます。
Objective-Cは、あまりコンパイルエラーを出さず、ランタイム時(実動作時)に不具合を発生します。プログラムの書き方には自由度があるのですが、その分だけ、プログラマは自分自身で非常に気をつけてプログラムを書く必要がありました。
ところが、世のコンピュータ言語は複雑になり過ぎました。
プログラマがより生産的であろうとすると、開発の後段でたくさんのテストを行って不具合を取るより、言語自体が不具合を発生させないような仕組みを持つべきだという考えも当然出てきます。
私にはSwiftは、コンパイル時に不具合をなるべく出して堅牢なソフトとするため、かなり厳格な書法をユーザーに課している言語に見えます。その辺の感覚は、Objective-Cと一線を画す感じがしました。
特に驚くのが、クラス(のポインタ)が入る変数に?や!のような記号を付けて、この変数にヌルが入るかどうかを明確に意識させる点です。
最初はここまで冗長に書かされて、ややバカにされている感じもしましたが、結局は自分もこの手の不具合を相当出しているので、そういう意味ではSwiftのおかげで変数の扱いの意識が高まったとは言えると思います。(←今更何言ってんの!とか突っ込まれそうですが)
もう一つ、今回後半で苦労したのが、iPhoneの画面サイズの問題。
今やiPhoneアプリは、3.5inch, 4inch, 4.7inch, 5.5inchの4種類の画面をサポートしなければいけなくなりました。どの一つでも欠けていると、Appleはアプリを受け付けてくれません。
このようなときに、どの画面でも画面パーツがうまく表示されるように調整できるというAuto Layoutを使ってみたのですが、これがさっぱりうまくいきません。個別の理屈は分かっても、全くうまく制御が出来ないのです。ある数値を入れると、パーツがいきなり変な場所にフッ飛んでしまったりとか・・・
仕方がないので、結局昔からあるAuto resizeという方法で何とかうまくゴマかして各画面に対応しました。
企業が商品として出すアプリだと、きっちり正攻法でAuto Layoutを使い、デザインをどのサイズでもきっちり作ってくるのでしょうが、個人開発ではそこまで対応する余裕がありません。
Meantoneでも、3.5inchでは妙にきちきちで、5.5inchでは逆に画面に無駄なスペースが生まれているのはそのためです。
参考までに、3.5inchと、5.5inchの画面を貼っておきます。
ここ数ヶ月、少しずつ時間を捻出して何とかここまで作りましたので、ぜひ使っていただいて、ご感想、ご意見などいただければと思います。
ちなみにアイコンは、バロックの巨匠、モンテヴェルディの肖像です。
iOSがバージョンアップした際、Meantoneのプログラムの不具合が顕在化し、それについてiTunesでも何人かに指摘されているのは分かっていました。
ただ、iOSのバージョンアップのスピードが速すぎるのと、ここ数年、Make系の活動に夢中になっていたこともあり、申し訳ないと思いつつもなかなか手がつかずにいました。
昨年Appleから新しい言語Swiftが公表されましたが、今後iPhoneで何かやるにはどうしてもSwiftの知識が必要になるだろうし、これを機会にちょっとSwiftの勉強をしてみようと昨年から考えていました。
また、仕事でやっているわけでもないので、この際Objective-Cからきっぱり足を洗って、過去のソースも全て捨てて(一部捨ててませんが)、プログラムを書き直してみようと思い立ったわけです。
そんなわけで、有料アプリを買っていただいた方々のためにも、まずこのアプリをSwift化しようと考えました。
◆
コンピュータ言語を語れるほどの専門知識はありませんが、Swiftはある意味Objective-Cと逆の方向性を持った言語のように感じます。
Objective-Cは、あまりコンパイルエラーを出さず、ランタイム時(実動作時)に不具合を発生します。プログラムの書き方には自由度があるのですが、その分だけ、プログラマは自分自身で非常に気をつけてプログラムを書く必要がありました。
ところが、世のコンピュータ言語は複雑になり過ぎました。
プログラマがより生産的であろうとすると、開発の後段でたくさんのテストを行って不具合を取るより、言語自体が不具合を発生させないような仕組みを持つべきだという考えも当然出てきます。
私にはSwiftは、コンパイル時に不具合をなるべく出して堅牢なソフトとするため、かなり厳格な書法をユーザーに課している言語に見えます。その辺の感覚は、Objective-Cと一線を画す感じがしました。
特に驚くのが、クラス(のポインタ)が入る変数に?や!のような記号を付けて、この変数にヌルが入るかどうかを明確に意識させる点です。
最初はここまで冗長に書かされて、ややバカにされている感じもしましたが、結局は自分もこの手の不具合を相当出しているので、そういう意味ではSwiftのおかげで変数の扱いの意識が高まったとは言えると思います。(←今更何言ってんの!とか突っ込まれそうですが)
◆
もう一つ、今回後半で苦労したのが、iPhoneの画面サイズの問題。
今やiPhoneアプリは、3.5inch, 4inch, 4.7inch, 5.5inchの4種類の画面をサポートしなければいけなくなりました。どの一つでも欠けていると、Appleはアプリを受け付けてくれません。
このようなときに、どの画面でも画面パーツがうまく表示されるように調整できるというAuto Layoutを使ってみたのですが、これがさっぱりうまくいきません。個別の理屈は分かっても、全くうまく制御が出来ないのです。ある数値を入れると、パーツがいきなり変な場所にフッ飛んでしまったりとか・・・
仕方がないので、結局昔からあるAuto resizeという方法で何とかうまくゴマかして各画面に対応しました。
企業が商品として出すアプリだと、きっちり正攻法でAuto Layoutを使い、デザインをどのサイズでもきっちり作ってくるのでしょうが、個人開発ではそこまで対応する余裕がありません。
Meantoneでも、3.5inchでは妙にきちきちで、5.5inchでは逆に画面に無駄なスペースが生まれているのはそのためです。
参考までに、3.5inchと、5.5inchの画面を貼っておきます。
◆
ここ数ヶ月、少しずつ時間を捻出して何とかここまで作りましたので、ぜひ使っていただいて、ご感想、ご意見などいただければと思います。
2015年8月4日火曜日
MagicFluteを作ってみよう
MFT2015では、以下のようなチラシを配りました。
3万円というと、ちょっと割高感はありますね。3Dプリントは手軽になってきましたが、これが値が張っている原因となっています。
とはいえ、私がこれまで一人で開発してきたこの電子吹奏楽器が、何とか誰でも作れる形になりました。是非多くの人に触ってみてほしいです。
MagicFluteはMIDI Controllerですので、iPhoneの楽器アプリや、PCのソフトシンセ(GarageBandとか)につないで好きな音色を奏でることが可能です。
世の中にあるWind Synthというと、もうちょっと値が張りますから、手軽に遊べるWind MIDI Controllerとして何かと使い道はあるのではないでしょうか。
この「MagicFluteを作ってみよう」という別のブログを作ってみました。
まずはどのように作っているのか、ぜひご覧になってください。
その上で、ちょっと作ってみようかな、という方がいましたら是非トライしてみてください!
3万円というと、ちょっと割高感はありますね。3Dプリントは手軽になってきましたが、これが値が張っている原因となっています。
とはいえ、私がこれまで一人で開発してきたこの電子吹奏楽器が、何とか誰でも作れる形になりました。是非多くの人に触ってみてほしいです。
MagicFluteはMIDI Controllerですので、iPhoneの楽器アプリや、PCのソフトシンセ(GarageBandとか)につないで好きな音色を奏でることが可能です。
世の中にあるWind Synthというと、もうちょっと値が張りますから、手軽に遊べるWind MIDI Controllerとして何かと使い道はあるのではないでしょうか。
この「MagicFluteを作ってみよう」という別のブログを作ってみました。
まずはどのように作っているのか、ぜひご覧になってください。
その上で、ちょっと作ってみようかな、という方がいましたら是非トライしてみてください!
2015年8月3日月曜日
Maker Faire Tokyo 2015に出展しました
Maker Faire Tokyo 2015(MFT2015)に出展しました。
MFT2015は、8/1-2に東京ビッグサイトにて開催された、年に一回のMakerたちの一大イベント。
私は奇楽堂という団体名で、これまでこのブログでも紹介してきた電子吹奏楽器MagicFluteを展示、試奏いたしました。
ブースはこんな感じ。
去年のOMMFでは一人だけでしたが、今年は水引さん、菅家さんという二人が参加してくださり、3人での出場。
水引さんは、ラズパイで物理音源を作ってくれました。菅家さんはBLE MIDIでMagicFluteを無線化してくれました。
二日間、笛を吹きつつ、覗き込んでくれた方々にひたすら説明。
疲れたけれど、充実の時間を過ごすことができました。
ちなみに私たちの隣のブースは、あのウダーでした!
浜松からきた他のチームでは、R mono Labのリコーダーによるパイプオルガンが大人気。このアイデアには本当にやられた!と思いました。
なんと、私のMagicFluteから出力したMIDIで、リコーダーパイプオルガンを鳴らすというコラボレーションも出来ました!
その他の浜松組からは、Yara:MakersさんのラブキテルとArduinoシンセ
FabLab浜松さんの合鴨ロボットプロジェクト
そしてデザイン寮のループテーブル
懇親会ではその場で知り合った方々と、意気投合して盛り上がったこんな場面も・・・
今回は、「MagicFluteを作ってみよう」というチラシを配ってみましたが、今のところ、反応は無し・・・
残念ですが、現実はまぁこんなものかもしれませんね。
これから、地道に何回もMaker系イベントに参加しながら、いつも変な楽器を演奏している名物オジさんと認知されるように頑張っていきます。
MFT2015は、8/1-2に東京ビッグサイトにて開催された、年に一回のMakerたちの一大イベント。
私は奇楽堂という団体名で、これまでこのブログでも紹介してきた電子吹奏楽器MagicFluteを展示、試奏いたしました。
ブースはこんな感じ。
去年のOMMFでは一人だけでしたが、今年は水引さん、菅家さんという二人が参加してくださり、3人での出場。
水引さんは、ラズパイで物理音源を作ってくれました。菅家さんはBLE MIDIでMagicFluteを無線化してくれました。
二日間、笛を吹きつつ、覗き込んでくれた方々にひたすら説明。
疲れたけれど、充実の時間を過ごすことができました。
ちなみに私たちの隣のブースは、あのウダーでした!
浜松からきた他のチームでは、R mono Labのリコーダーによるパイプオルガンが大人気。このアイデアには本当にやられた!と思いました。
なんと、私のMagicFluteから出力したMIDIで、リコーダーパイプオルガンを鳴らすというコラボレーションも出来ました!
その他の浜松組からは、Yara:MakersさんのラブキテルとArduinoシンセ
FabLab浜松さんの合鴨ロボットプロジェクト
そしてデザイン寮のループテーブル
懇親会ではその場で知り合った方々と、意気投合して盛り上がったこんな場面も・・・
今回は、「MagicFluteを作ってみよう」というチラシを配ってみましたが、今のところ、反応は無し・・・
残念ですが、現実はまぁこんなものかもしれませんね。
これから、地道に何回もMaker系イベントに参加しながら、いつも変な楽器を演奏している名物オジさんと認知されるように頑張っていきます。
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