以前ラズベリー・パイ(Raspberry Pi)についてこんな話題を書きました。
今後、電子機器がこういった小型PCボードに席巻されるだろう、という予想は当時から変わりませんが、それには障壁があります。
コンピュータ、ITの世界は非常に進歩が速く、10年前のパソコンを使い続けるのは基本的には大変難しいハズ。ストレージもメインメモリも10年前とは比較にならないほど容量が増えたし、CPUの性能もどんどん上がっています。
その一方、私たちの身の回りのある電気製品は、壊れるまで使うものがほとんどです。冷蔵庫とか洗濯機とかエアコンとか、あるいは各種調理器具とか、あとはAV機器系でしょうか。こういう機器は、もちろん中にマイコンが入っているわけですが、メモリが足りなくなったからとか、CPUの処理速度が足りない、という理由で製品を買い替えることはありません。
通常は、壊れて使えなくなったから新しいものを買うことが一般的です。
ところが、製品開発側からすれば家電製品がネットに繋がったりすれば、いろいろ便利だろうと考え、そういう機能を追加しようとします。
確かに今の技術でネットに接続することは出来るでしょう。しかし、5年後、あるいは10年後にネットが同じプロトコルのままかどうかも分からないし、各種ネットサービスの機能もある程度ネイティブな処理で行なうことが一般的になるかもしれません。
ネットに繋がって便利〜、みたいな機能を電気製品に入れようとすると、逆説的に10年使い続けようみたいな価値観が揺らいでしまうのです。
それで考えられるのは、電気製品のCPUやストレージ、ネット接続の部分が外部汎用コンピュータボードとして製品から分離され、必要に応じてアップグレードが可能になる、といった方向性です。
確かに今の消費者が、コンピュータボードの性能や、OS、ネットの規格の違いまで知らなければいけないというのは酷な気もします。
しかし、そちらのほうが経済的にメリットがあるのなら、消費者がコンピュータリテラシーを持つことを前提に、そういう商品が増えていく可能性もあると思います。
そして、そこでラズベリー・パイなわけです。
こういう小型PCボードが電気製品から抜いたり挿したりすることが可能になれば、冷蔵庫、洗濯機の基本性能はそのままで、ネット接続や情報管理などの処理をアップグレードすることは可能でしょう。
そのためには、電気製品とPCボードとの接続が標準化される必要がありますが、先に作っちゃったモノ勝ちなのかもしれません。Googleあたりが家電との接続APIを規定してくれれば、世の中も少しは変わるかもしれません。
まとめると、いろいろな電子機器がネットに繋がったり、大量のデータを保持してネットでやり取りしようとすれば、そういう機器のコンピュータ部分を取り外し可能にする、というコンセプトが成り立つ可能性があるということです。
そして、そのときラズベリー・パイのようなボードがそういう部分を担うデバイスとして、少しずつ好事家から一般大衆へ広まっていくのではないか、という予想を私はしています。
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さて話は変わり、私のラズベリー・パイでの活動の報告など。
写真の通り、私の机の上はすっかり電子工作スペースと化しています。
中央にあるのがラズベリー・パイ。いま、I2Cの信号だけ抜き取り、これを小さなタッパーの中に入っている気圧センサーに繋げています。I2Cデバイスはもう一つ。こちらは、ポート出力をI2Cに変換してくれるデバイスもI2Cに繋げています。
この状態でタッパーにくっ付けた透明なチューブをくわえて息を吹き込むと、気圧が若干上昇します。これを吹奏圧として利用すれば、吹く電子楽器が出来るはず。
今は、「電子オカリナ」を目指して、ラズベリー・パイ上で動作するソフトシンセの調整をしたり、ラズベリー・パイのI2C端子以降をきちんとした筐体に入れる方策を検討しています。
また、そろそろ3Dプリンタで出力するために、CADで立体図形を描く練習も始めたいと考えています。
さて、今年中にどこまで出来ることなのやら・・・
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