2012年12月23日日曜日

ラズベリー・パイで何が出来るか、何がしたいか

3000円で買えるARMボード、ラズベリー・パイを購入。その筋では大変な人気で、私も9月末に注文したのに12月になってようやく入手できました。

写真の二つのキーボードの真ん中にある小さなボードが、ラズベリー・パイです。
写真のように、キーボード、モニター、ネットワークを繋げると、コンピュータとして利用可能。ストレージはSDカードを利用します。この中にLinuxをインストールすると、Linuxパソコンとして使うことが出来ます。

とは言え、CPUはARM11の700MHzなので、昨今のPCからは相当性能も低く、普通のパソコンとして使うにはちょっとパワー不足。
では、一体これは何のために使うためのもので、どうして世界中からそれほど人気なのでしょうか?

やや禅問答的な答えですが、それには答えが無い、というのが答え。
元々はプログラミングの教育用に作ったボードということですが、世界中の電子工作マニアみたいな人たちがその安さに惹かれ、何か面白いことが出来るんじゃないか、と考えているのです。

例えば先日紹介したこの本
この本では、3Dプリンタのような機械によって、これまで個人では不可能だったようないろんな製品の試作が、安価に出来るようになってきていることが紹介されています。
これはデジタル回路も同じで、これまでは必要なICの情報を調べ電子回路を設計して、それを元に基板を設計し、その基板を試作し、実際に動かして問題が無いかを検討し、その上で動くソフトウェアを開発してROMデータを作り、基板を製造して製品に載せる必要がありました。とてもこんなことを一人の個人が出来るわけがありません。

ところが、このようにCPUと周辺デバイスがすでに装備された安い基板が出回ると、そこにプログラムを書いて載せるだけで、電子回路を動かすことが出来ます。
もちろん、モニターが必要ないのにモニター端子があったり、ネットワークが必要ないのにLANのコネクタがあったり、といった無駄があるにしても、十分に安くなるのであればこれでいいんじゃない?という判断も成り立ちます。

こういう事態は、20〜15年くらい前にコンピュータ業界で起きたことを思い起こさせます。
それまでコンピュータは大企業しか作れない代物でした。
ところが、マイクロソフトによるMS-DOS、WindowsというOSの出現はハードウェアの標準化を促し、コンピュータのボードがPC/ATという規格に準拠していれば、コンピュータとして成り立つようにしてしまったのです。
結果的に、ハードウェアのコモディティ化が起こり、ひたすら値段だけの競争に陥り、気が付けば誰でも部品を集めればPCを組み立てることも可能になってしまいました。

この流れが、今後は様々な世の中の電子機器に対して起こるでしょう。
様々な機器とは、テレビとかラジカセとかオーディオ機器とかHDレコーダーとか、そういった家庭用電子機器であり、あるいは携帯、デジカメ、スレートデバイス(電子書籍用など)のような持ち歩くデバイスです。

まだ日本の多くの電機メーカーは、そういう機器を作り続けていくつもりのようですが、そのうち世界中の中小メーカーがこういった汎用ボードを使って安い製品を作り出すようになることでしょう。
そして、このようなボードは今やラズベリー・パイだけではありません。
すでに世界中で多くのボードが発売されています。モノも多くなれば、ますます性能は上がり、値段も安くなっていくでしょう。

このようなボードではOSにLinuxを使うのがほぼ標準になってきました。
とりあえず私としては、仕事柄というだけでなく、こういう技術にキャッチアップすることで、何か自分の可能性を拡げてみたいと考えているところなのです。
(まあ、ぶっちゃけ言えば、これを使って電子楽器を作ろうと考えています)

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