メーカーってモノを作るわけだから、部品を集めて加工して組み合わせて、工場で完成品を作っていくわけです。今では電機製品のほぼ全てにマイコンが入っていて、そのマイコンを動作させるためのプログラムも作らねばなりません。しかし、そのプログラムはモノでは無いので、工場の中ではどうしても形が見えません。
どんな電機メーカーもマイコンのプログラミング無しにはモノは作れません。
そして、まさにそこが日本企業にとってアキレス腱ではないかと私には思われるのです。
自分がプログラムを書いていて不満を感じやすいからかもしれませんが、メーカーという仕組みの中では、プログラムを書くという仕事はなかなかうまく回らないものだと感じます。
メーカーは工場を持っています。いろいろな社内の慣習が工場をベースに成り立っていることがまだ多いです。今では、工場を海外に移す企業も増えてきましたが、それでも工場をいかに回していくか、ということがメーカーの最も重要視する点です。
しかし、ソフト開発は工場ベースの仕事の仕方となかなか折り合いがつきません。
以前はそうでもなかったのでしょうが、現在多くの人がコンピュータで仕事をするようになり、人々がソフトウェアに触れるようになればなるほど、PCでのソフトウェアの世界とメーカーのマイコンプログラムの世界との乖離が酷くなってくるのです。
その流れにとどめを刺すように、iPhone/AndroidといったモバイルOSが現れました。
なぜそれがとどめかというと、手のひらに乗るような小さなデバイスがPC並みのUIや性能を持つようになってしまったのです。それもかなりの安価で。
人々の基準がスマホになってしまい、それ並みの性能も出せない高価な電子機器に人々が疑問を持つようになってしまいました。
ならば、iPhone/Androidのように作ればいいじゃん、などと軽く言ってはいけません。
それは、自社が工場を持たず中国等の下請けに製造させ、何百万も販売出来る製品力を持った企業だけにしか出来ないのです。
そして、その代わりに彼らは、その心臓部であるソフト開発にふんだんの開発費をかけています。
しかし、一方ほとんどの日本の電機メーカーの人間には、どのようなソフトウェアが優れていて、どのようなモジュールや行程に工数をかけたら良いかが分かっていないのです。
ソフトを書ける人にしか、ソフトのどの部分が大事なのかが分かりません。
何が大事か分からないと、人員をどのように組織化し、どのような仕事を割り振るかという判断のレベルが低くなります。残念ながら、多くの電機メーカーではソフトウェアのプロフェッショナルがソフト開発のマネージングをしていないように感じられます。これほど大きな電機メーカーがたくさんあったにも関わらず、ついに携帯用OSは、日本から全く現れませんでした。
いくら現場に優れた人がいても、ソフト開発に最適化された優れた組織構造を持ったソフトチームが作られていなければ、いいプログラムは開発出来ません。
良いソフトは良い組織から生まれます。そこに気付かない限り、アメリカ製のソフトウェアに席巻されていくばかりになってしまうのです。
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