2012年5月3日木曜日

電機メーカーの何が問題なのか?

ちょっと本業のもやもやを一般論化して、ここでまとめてみます。興味の無い方は多そうですが、意外と深刻な問題だと私は思っています。

結論を先に言えば、電機メーカーとか家電メーカーと呼ばれる会社は、今後10年くらいのうちにスゴい勢いで凋落していくだろうと私は考えています。
スゴイといっても、加速は後段階になるほど強くなるので、現状でそのようになると思っている人はそれほど多くはないし、仮に状況が悪くなってもきっと我々にはそれを凌駕するような力があるに違いない、という根拠の無い安心感を持っているようです。

すでにそれと同じ例が世の中では一度起きているのです。
それは、PCの世界です。
PCを作ると言うこととは、その昔単体のハードウェアを作ることでした。そのハードウェアに関わることを全てPCメーカーが自社開発していました。
ところが、PCを動かすためのソフトウェアはだいたい機能は同じです。そのうち優れたソフトウェアを集めてOSとしてマイクロソフトが売り出すと、ソフト開発に苦労していたメーカーは喜んでそれを導入しました。
メーカーはモノを売って利益を上げるのですから、そこに添付されるOSも部品の一つ、というくらいの位置づけだったのでしょう。
ところが、時代が進むにつれOSこそがコンピュータの最も重要なファクターになっていきました。CPUも寡占化が進み,気が付くと、OSとCPUを作っている会社が超巨大化して、PCメーカーは彼らが言われるままに作る箱屋になってしまったのです。

同じことが携帯でも起こりつつあります。
日本メーカーは各社独自でソフト開発していましたが、それよりはるかに高性能な近代モバイルOSを搭載したスマートフォンが市場を席巻し始め、携帯メーカーはそれを載せるだけの箱屋になりつつあります。
サムソンが現在いくら携帯で儲けていても、彼らがスマホの重要な部分を持っていない限り、いつかはコモディティ化の流れの中で消耗戦を強いられることになるはずです。

あらゆる電化製品には、小さなマイコンが搭載されています。
その製品が多機能を指向すれば、データを保持したり、それを解析したりすることになります。そしていずれは、いつ誰がどの製品をどのように使ったか、ということまで記録を取りたい(それが奇妙な世の中に思えても、便利なサービスを提供しようと思うと結局そうなります)ということになり、その情報はネットに流れるようになるはずです。
つまり、あらゆる電化製品は、同じプロトコルを使ってネットに繋がることを指向するのです。そのための仕組み(OS)をいずれ搭載せざるを得なくなり、OSを動かすための標準化されたハードウェアはどの製品でも使えるようになっていくでしょう。

先日、家具メーカーのIKEAがテレビの販売を始めた、というニュースがありました。
世の中のハードやソフトのプロトコルが標準化されれば、メーカーではない会社でもモノ作りが可能になってきます。
大事なのはモノ作りそのものではなく、それを使ってどのようなサービスを構築するのか、どのような楽しみを提案するのか、ということです。そういうソフト戦略が無ければ、いずれ現在の電機メーカーは沈んでいくしか無いと思うのです。

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