何と全編、舞台はたった一つの部屋。そして登場人物は男五人、というまるで小演劇のような映画です。
しかし、これは面白い!
笑って、驚いて、そして最後は泣いて、しかもそれが数秒単位でめまぐるしく変わっていく疾走感溢れる流れ。何といっても、この映画の面白さは、脚本の素晴らしさ、及びそれを演じきった五人の役者の素晴らしい演技にあったと言えます。
ストーリーは、1年前に自殺したB級アイドル「如月ミキ」の一周忌をやろうと、ネットの掲示板で知り合った人たちが集まるところから始まります。みんなハンドルネームで語りながら、初めまして、というシチュエーションは、Niftyのオフ会を思い出しますねぇ。
しかし、しばらくして最初の和やかな雰囲気は、あっという間に消え去り、如月ミキは自殺ではなかったのでは?という問いかけから、男五人の凄まじいまでのやり取りが始まるのです。
どんな話をしても、全てネタバレになってしまうので(ストーリーの流れは、新事実が判明する驚きの連続です)、これ以上は内容は書けないのだけど、もう一つ一つのエピソードがうまく練られていて、伏線の張り方もとてもうまい。それでいて、こんなストーリーで最後泣けるとは予想もできませんでした。
ただし、ラストシーンはちょっと余計だったかも。そこだけが残念かな。
どうも最近の邦画って、キムタクものとか、フジテレビものとか(同じか)、子供向けとか、誰か最後に死ぬやつとか、そういう個人的にあんまり興味のない映画はヒットしているのに、先日見た「自虐の詩」とか今日見た「キサラギ」とか自分が気に入った映画のほうが、商業的に成功しそうもないのはどうしてでしょう。(日曜の昼なのに今日の観客も少なかったなあ)
私は、こういう脚本も演技も技巧的な映画ってクリエータ魂を刺激され、とても感銘を受けます。
決して高尚なテーマじゃなくても、敢えて俗っぽいアプローチでも、芸術性の高い映画って絶対あり得ると思うのです。
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