2005年2月12日土曜日

ステップフォード・ワイフ

ニコールキッドマン主演のこの映画、なかなか楽しめました。これは想像以上に私にとってヒットです。
全体的に寓話的な雰囲気で作られているのが私の好みに合います。特に前半、全てのノリが過剰で、えげつなくて、こういったジョークセンスが面白かった。この感覚は「未来世紀ブラジル」に通じるものがありますね。最初の、主人公のジョアンナ(ニコールキッドマン)が作るテレビ番組の悪乗りぶりはかなりおバカ。それに、ステップフォードという不思議な街の人々の不思議な行動も、ひとつひとつバカバカしくて、風刺に満ちています。このバカバカしさだけを見るとくだらないと思う人もいるかもしれないけど、何を風刺しているかというところまで考えてみると結構深いものを感じます。古き良き時代のアメリカ、キリスト教に深く帰依し、貞淑で夫に無条件に尽くす妻、そういった環境を愛することは、いわゆるアメリカの保守層に対する辛辣な風刺に読めます。そう考えると、ちょっとこの映画はある種の政治的メッセージを潜ませているようにも感じます(要するに民主党寄り)。
さて、ステップフォードの妻たちにはどんな秘密があるんだろう、とわくわくして見ていると、話は思いがけずSFっぽくなってきます。そしてついに主人公のジョアンナまで、洗脳されてしまいます。うわー、ここで終わったらかなり渋いぞ(まさにラストに救いのない「未来世紀ブラジル」そっくり)、と期待を膨らませていると、さすがにハリウッド映画、最後は予定調和な勧善懲悪に向かって大どんでん返し。きちんとこの街の秘密が暴かれるのです。まあ、このあたりは仕方はないのかもしれませんが、最後のどんでん返しでのSF設定には穴がありまくりで、若干萎えてしまいました。
いや、それでもこの寓話的で風刺に満ちたSFチックなこの映画、私のツボを刺激しました。先日のレークサイドマーダーケースとは逆のことを言いますが、終盤で安直なカタルシスを追求しないと、もっと私好みの映画になると思いました。まあ、でもこの辺りが落としどころでもあるのかなあ。

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