2013年5月11日土曜日

一人メーカーの実現方法

メーカーズ・ムーブメントを受けて、「一人メーカー」などというキーワードも現れています。私にとって、なんと甘美な言葉なのでしょう!

もともとモノ作りが好き。
だけれど、ある程度の規模のものになると一人ではなかなか作ることができません。会社に入ってモノ作りの一翼を担うというのは、もちろんこれまで自分にとって楽しい仕事ではありました。
しかし、本当に自分のやりたいことは、全て自分が関わりたいし、全て自分が決めたい。ジョブスみたいに圧倒的なカリスマとして、他人を感化して動かすことが出来ればいいけれど、それも現実難しいです。

折しも昨今メーカーが商品を売る、という行為そのものも少しずつ変化を見せ始めているようにも思えます。
その理由の一つは多機能化、高性能化が過度に進み、コンシューマレベルではもはや性能差を競うような時代ではなくなったことが挙げられます。
現実に、多機能、高性能な商品より、コンセプトが明確だったり、デザインが美しかったり、ユーザーのかゆいところに手が届くようなニーズに応えたりといった、企画そのものが秀逸な商品が売れるようになっています。
商品開発も、個々のチームが優れたものを持ち寄って、それをただ組み合わせて商品化するより、強い個人の想いが製品に全面的に反映されている方が個性的で面白いものが生まれるし、そういうことが求められる時代になってきました。

こんな流れを極めていくと、最後には一人でモノが作れればそれがベストだということになります。つまり一人メーカーです。


しかし、実際のところそれは可能なのでしょうか?
私の片寄ったメーカー勤務経験からちょっと考えてみます。

商品を作って売るまで、技術的な仕事は大きく分けて商品開発と工場生産があります。
電機製品などの場合、中にはマイコンがあり、そのプログラムやデータを作るのにたくさんの時間がかかりますが、電子回路や製品の筐体などの開発にはそれほど複雑でなければ時間はかからないでしょう。
逆に見た目が非常に精巧なものとか、複雑な外観をしたものは、工場での生産の仕方が非常に難しくなり、それを考えることに時間がかかりそうです。

人によって得意技は違うでしょうが、私の場合、前者の方が自分のスキルを生かせます。
比較的シンプルな外観、外装で、中の電子回路も汎用なものを使えば、生産での工夫や苦労は少なくて済むからです。
恐らくその場合、生産そのものを委託することになり、いわゆるファブレスにすることが出来ます。自分で工場を建てなくても良いわけです。

上の場合、商品の差別化はソフトウェアやデータ、あるいは商品のアイデアそのものということになります。ですから、マイコン上で動かすソフトウェア開発が、やはり大きな仕事になっていきます。

とは言え、独自商品を作るには、最低限の外観を表現出来る手段は持っている必要があります。
最近は3Dプリンタなどで簡単に試作することが出来るようになりましたが、そうなるとそれを扱うスキルや、3Dプリンタ用のデータ製作スキルが重要になってくると思います。

一人メーカーの場合、販売は自ら店頭で行なうのは無理でしょう。
ほとんどの場合、Web上での販売となるでしょうが、それでも梱包、配送、販売管理などは大変な手間がかかります。
これもちょっと検索すれば分かるのですが、最近は商品の梱包、配送などを委託できる会社も増えています。こういった会社を利用すれば、製造、梱包、配送といった商品を世に供給するシステムをほぼ委託で済ますことも可能です。

残る仕事は・・・、部品調達、営業(宣伝)、経理といったところでしょうか。

うーん、やはりまだまだ一人でやるのは大変ですね・・・

「一人メーカー」の時代が来るためには、今会社の中で行なわれている仕事が一つ一つ分解されて小さな単位でみんなが独立する必要があります。
開発でも、ソフトウェア開発を委託したり、電気回路設計を委託したり、特殊なパーツの設計を委託したり、さらには経理や、工場との仕事の橋渡しが委託出来たりすれば、もう少し気軽に個々人が独立し易くなっていくと思うのです。


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