名古屋フィルハーモニー管弦楽団の「バレンタインコンサート」が浜松アクト大ホールであったので行ってきました。
今日の演目で一番気になっていたのは、プーランクのフルートソナタのオーケストラ編曲版(バークレー編曲)。室内楽の中でも、一二を争うくらい好きな曲であるプーランクのフルートソナタ。オリジナルを生で聴いたこと自体無いのに、そのオーケストラ編曲版を聴くなんて本当に滅多に無い機会です。
実際聴いてみて、いろいろと思うことがありました。
そもそもフルートのソリストは、この有名な曲を恐らく何度も演奏したことがあるはずであり、ピアノと阿吽の呼吸でアンサンブルしていたその感覚がかなり身体に残っていたに違いありません。
正直、オーケストラのアンサンブル感とはズレがあって、何度か演奏に乱れがあったように思います。これは、経験があったからこそ逆に、ソリストにとって合わせが難しかったんじゃないかなあという気がします。(実は指揮者が元々フルート奏者らしく、それでこんなマニアックな演目を選んだのではないかと想像しています)
編曲という点からも、ピアノとフルートの音像に慣れていると、いくつか違和感を覚えてしまいます。えー、そのタイミングでティンパニが入るの!とか。元々、二人の演奏者がアイコンタクトで独特のタメを作るのがこういった音楽の面白さであって、各フレーズがいろいろな楽器にばらされることによって、その微妙なタメを作るのが非常に難しくなります。
そう考えると、ピアノの楽譜をオーケストラに編曲するのって、とても難しい作業なんだなと改めて感じました。その場合、ときに原曲の音構造から離れて、ある程度自由に編曲した方がむしろ効果的になる場合もあるでしょう。しかしそれは、原曲の良さを損なうことにもなりかねず、非常に難しい判断になると思います。
なお、原曲では妙に明るくて若干の違和感のあった第三楽章が、最もオーケストラに合っていたように感じました。オーケストラの方が華やかさを表現し易いということなのでしょう。
その他、イベールのフルート協奏曲、プロコフィエフのロミオとジュリエットなど、浜松でなかなか聴けない演目を楽しませて頂きました。
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