主人公の行動に賛否が分かれるという点で話題になっている映画「7つの贈り物」を観ました。
全体的に説明を省き、主人公の行動の意味が後半になってだんだん明らかになるような構成を取っているため、前半ではなかなか内容の意味をつかみ取るのが難しく、少々いらだちます。
もちろんそれは脚本の意図であり、終盤で問答無用の感動を誘うため恐らくそのような流れになっているのでしょう。確かに、事実が分かった後には泣けてくるシーンも多々あるのだけれど、映画を観終わった後でいろいろと疑問が沸いてきたのは確か。以下、若干のネタばれになります。
そこまでして人を助ける・・・というのが、終盤での感動に繋がるのだけど、よく考えると、その行動はあまりにエキセントリック。もし現実にそのような行為をする人がいたら、助かった人々は無条件で喜べるでしょうか。そこがまず疑問。
逆に究極の人助けが重荷に感じてしまうだろうし、結果的に助けられた人が精神的にも幸せになれたとは言えない可能性もあります。
それから目的の達成のためにとった手段がいささか強引。法を犯し、兄弟友人に迷惑をかけてまで行うことが善行と言えるのか。敢えてそのようなシーンを入れたということは、製作者自体が「あなたはどう思いますか」という提起を観客に与えていると邪推してしまいます。
善い行いをする、という目的を厳格に遂行する、という力強い意思は賞賛されるべきなのでしょうか。そういうところはある意味、米国的な価値観なのかもしれないと思ったりします。
日本人なら、善い行いというのは行動の優しさという態度にも現れる感じがあって、冷徹に事を進める人物像になかなか共感を得るのは難しいでしょう。
自分の善行の対象になる人を審査するような、上から目線、みたいな感じも気になります。あんた何様よ、みたいな。
そんなわけで、個人的には必ずしも主人公の行動には納得しないものの、この映画が提起したある種の米国的価値観について考えるには興味深い題材なのかもしれません。
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