2006年4月21日金曜日

ハーモニーで一番面白かった記事

さて、このハーモニー、肝心な部分を誤植してくれる困った機関紙ですが、面白い記事もあります。
春号の私のベストワン記事は、千原英喜氏のM4の曲紹介。
こんな文章を書ける人だとは知らなかったです。すごい才能。それに内容も面白い。
作曲家にはこういう高尚な(?)冗談系文章を書く人がたまにいますが、千原氏もそういう天性を持っている人なんだと感じました。これまで、どちらかというとお固いイメージがありましたが、この文章で一気にファンになりました。この調子で、万葉調とか、平安調とか、新しいパターンを期待したいところです。

しかし、よく考えてみると、千原氏の合唱曲って、単にテキストの素材が古いというだけでなく、それを自ら選択、構成しているという意味では作詞に近い行為をしているとも言えるのではないでしょうか。それに楽譜にも、本人による随分たくさんの解説文が載っていますね。
千原氏の合唱作品を眺めると、そこにある詩に単に曲を付けるという行為から、もう一段大きなレベルでの創作を楽しんでいるように見えます。一つの組曲には明確なコンセプトがあり、そのコンセプトに基づいて、ゼロから全体の構成を作りあげています。時に古文に、時にラテン語にと、素材の選択もまた自由自在であり、その発想は極めて豊かです。それは、声楽曲の作曲というよりは、むしろ器楽曲に近い考え方であり、その考えをもう少し進めれば、声は単に歌であるばかりでなく、音楽の素材だという側面も強調されるようになるわけです。
それが、邦人曲の中では新鮮に映ります。
シンプルでメロディに溢れているのに、どこか機能的で、理知的な感じ。素材の由来を抜きにすれば欧米の合唱曲に似たフィーリングさえ感じるのです。

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