正月に録画しておいたのをようやく見ました。
いやー、面白いです、詩のボクシング。もちろん、詩を朗読するわけだから、詩の良さとか、言葉の連なりの自然さとか、そういう部分は大事なのだけど、見た人はわかると思いますが、もはやこれは全人格的な表現なんですね。
人が、たくさんの観客の前で一人で立たされて、そこで何を話すのか、どんな動きを、どんな表情で、どんな音色で発するのか、そういうこと一つ一つが全て聞く人の印象を左右させるわけです。
特に、今回は「詩」としてのレベルの高さを追求するよりも、自分語り的な人が多かったです。私としては、よりレベルの高い詩を持ってきた上で、全人格的な表現を追及して欲しかったというのが正直なところ。戦争とか障害者とか介護とか、のようなシリアスな題材で自分語りするというのは、考えさせることを強要しているみたいで、あんまり居心地が良くはなかったです。
私としては、今回、常に昆虫を詩の題材に使うGOKUさんの詩のレベルが一番高かったと思います。単なる昆虫マニアではなく、そういった道具を詩的な感性にうまく絡ませていて独自の世界を築いていました。
あと、詩がやはりうまい、と思ったのは準決勝まで残った石井さん。語りもちょっと独特だけど、主婦の平凡な生活を語っているにもかかわらず、その視点はまさに詩人のそれだったと思います。
詩を音楽的リズムの中で語った児玉さんも、その方法論はなかなか興味深かったです。ただ「蛇にピアス」的なデカダン少女のお決まり文句の羅列がいまいち。内容がもう少し面白ければなあ。
決勝はいささか反則的な技で北海道代表の大学生が優勝。私も涙流して笑ったけど、あれじゃ大学生のコンパのノリですよ。私はGOKUさんのほうが良かった。
それにしても、いつ見ても新しいものが次から次へと出てきます。表現する者にとって、その心意気を感じるだけでも大いに刺激になるイベントです。世の中には表現されていないコトがまだ山ほどあるのです。
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