2014年12月23日火曜日

PICに挑戦!

ここ1ヶ月ほど何をしていたかというと、ずっとPIC(ピック)と格闘していました。

PICとは何かというと、電子工作マニアの間では非常に有名な8bitマイコンなのです。
今までずっとRaspberry Piを使ってMagicFluteの製作を続けてきましたが、ここ数ヶ月ほど方針を変更して、一つのマイコンでセンサー検知と音源処理を行うのではなく、楽器操作部と音源部を分離することにしたのです。その操作部の製作のために、mbedを使い始め、そしてダウンサイジングの果て、ついにPICを使うことにしたのです。

mbedは非常に敷居の低い開発環境が魅力でしたが、CPUの能力としてはかなり高く、自分のやりたいことからするとややオーバースペックでした。たくさん数を作ろうとすると、値段も問題になってきます。もちろん、BLEを扱うならmbedなのですが、BLEの前にまず、普通のMIDIやUSB MIDIを扱おうとさらに路線を変更した結果PICにたどり着いたというわけです。

PICは入手性も高く、何しろ安価なのが大変な魅力。その代わり、mbedのような分かりやすさやハードを隠蔽するような仕組みはなく、ひたすら自力で低レベルのハード設定を行う必要が有ります。

ここ1ヶ月、PICの開発環境の導入や、ライブラリなどの探索、関連部品の調達、そして実際に動かしてみて試行錯誤を繰り返しながら、ついにLチカ、USB MIDIの出力、I2Cでの通信に成功しました!

ということで、実物をお見せいたしましょう。


黄色の矢印で示している緑色の基板に載っているチップがPICです。
今回はPIC18F14K50というマイコンを使用しています。
これが、RAM:768byte、Flash ROM:8KBのメモリを内蔵している超カワイイ組み込みマイコンなのです。

ギガバイトとかメガバイトとかじゃないですからね。ただのバイト、ただのキロバイトなのです。もうパソコンから見たらゴミのようなメモリ容量です。

この20pinのチップの中にUSBやI2C、AD変換、IOポートなどの周辺機能が入っています。
左隣の赤い物体は、PICkit3といって、PIC内蔵のFlashROMにプログラムを書き込む道具です。PC上のIDEでプログラム開発をして、コンパイルしてバイナリ化した実行プログラムをこの赤い道具でPICに転送し書き込むわけです。

現在、上記のブレッドボード上でプログラム開発をしていますが、ある程度電子部品の動作が確認できたところで、新しいMagicFluteの試作を始める予定です。

2014年12月12日金曜日

「作る」の未来 –今足りないもの–

以前このタイトルの記事を書いたとき、個人が趣味で何か「作る」ことに対して、まだまだ社会との交点とか、生業としての可能性みたいなことを語るのは時期尚早だと思っていました。

しかし、最近のMaker Movement関連で作られた具体的な事例を知るほど、まだまだ私たちの生活が便利になる小物は意外とたくさんあるものだと思い知らされます。

例えば、「スマート座布団」なるものを作った方がいます。
座布団の中にセンサーを入れて、どの座布団に実際に人が座っているかをリアルタイムで知ることができるシステムです。飲食店で使うことによって、お客の在席状況もわかりますし、1日の統計を取れば、客あたりの滞在時間や、一人で来たか、連れで来たか、といったことも多少の推測は可能でしょう。
飲食店でなくても、図書館とか、銀行や病院の待合室とか、そういう場所に設置したらどのようなデータが取れるか考えてみると面白そうです。

また、ある人は職場のトイレのドアにセンサーを付けて、今トイレに人がいるかどうかを自分の席で分かるシステムを作ったそうです。
あらかじめ現在のトイレの使用状況が分かると、トイレに行っても空いてない、ということはなくなります。
ただ、このデータのログを取って解析するのはあまり気は進みませんが・・・

これらの事例より、我々の生活の至る所にセンサーを付けることによって、まだまだ日々の暮らしが快適になる可能性はあります。
今までこのようなセンサーは個人で買うのは割高だし、痒いところに手が届くような機能も付いていませんでした。BtoB向けになると数量も出ないでしょうからカスタマイズも難しく、自分で好きな統計を取ることもままなりませんでした。

しかし、こういったセンサーと情報収集の仕組みと情報解析の仕組みを組み合わせることが技術的に簡単になれば、こういうシステムを構築できる人も増えてきます。最初は、個人の趣味で始めたことも、ビジネスになると分かれば、それを職業にする人も出てくるでしょう。そしてこれから、こういったシステムを個別最適に作ってくれる小さな個人事業がたくさん出てくるかもしれません。

センサーと情報収集や解析の仕組みからもう少し飛躍して、社会的に起こりそうなことを考えてみましょう。
例えば、近いうちにコンビニや各種店舗が無人化されるかもしれません。その場合にも、無人化を可能にするような各種デバイス(個人認証で入れる自動ドアとか)が開発されることによって、いろいろな特殊用途の無人化システムが作られることでしょう。
また、車の自動運転が一般的になれば、まずは人を運ばない運送のような業務から自動運転が始まるような気がします。それまでに、自動運転に関わるセンサーやパーツが部品化され、広くその図面が公開されれば多くの人がそれを使ったシステムを設計しやすくなります。
起こりそうな大きな技術とそれに付随する技術を考えてみると、今無いものを想像するきっかけになりそうです。


今足りない何かを考えてみましょう。
それは例えば生活のほんの一部をちょっとだけ便利にしてくれるようなものです。
そういうものが、気軽に作れる環境が整って来れば、「作る」ことがようやく生業になる可能性が出てくる気がするのです。