2007年11月27日火曜日

演奏会無事終了です

昨日開催しました、ヴォア・ヴェール第三回演奏会、無事終わりました。
久しぶりの演奏会だったし、今回は司会付きで細かい出入りもあったので、ステージングにもいろいろと不安もあったのですが、まあ終わってみれば何とかなるもんだなあ、と感じています。
肝心の演奏のほうは、まあいろいろ事故はあったものの、それも含めて我々の実力なのかあ、というところ。いつもより大振りになった指揮がわかりにくかった、と私も後でずいぶん苦情を言われました。
まあ、それでも全体としては良くできたと思っています。
��とりあえず、個人的には「狩俣ぬくいちゃ」がちゃんと叩けてホッとしています・・・)

ところで、演奏会にこられた方、「五つの母音の冒険」初演はいかがでしたでしょうか?
アンケートでは、"E"に人気が集中していましたが、それってやっぱり演出のせい?音楽じゃなくて・・・
そのあたり知りたいですね~。率直な意見が聴きたいです。
初演の音源も出来たので、私も曲の紹介がし易くなりました。楽譜も何とかおおやけにしたいな、と思っているところです。

2007年11月19日月曜日

キサラギ

何と全編、舞台はたった一つの部屋。そして登場人物は男五人、というまるで小演劇のような映画です。
しかし、これは面白い!
笑って、驚いて、そして最後は泣いて、しかもそれが数秒単位でめまぐるしく変わっていく疾走感溢れる流れ。何といっても、この映画の面白さは、脚本の素晴らしさ、及びそれを演じきった五人の役者の素晴らしい演技にあったと言えます。

ストーリーは、1年前に自殺したB級アイドル「如月ミキ」の一周忌をやろうと、ネットの掲示板で知り合った人たちが集まるところから始まります。みんなハンドルネームで語りながら、初めまして、というシチュエーションは、Niftyのオフ会を思い出しますねぇ。
しかし、しばらくして最初の和やかな雰囲気は、あっという間に消え去り、如月ミキは自殺ではなかったのでは?という問いかけから、男五人の凄まじいまでのやり取りが始まるのです。

どんな話をしても、全てネタバレになってしまうので(ストーリーの流れは、新事実が判明する驚きの連続です)、これ以上は内容は書けないのだけど、もう一つ一つのエピソードがうまく練られていて、伏線の張り方もとてもうまい。それでいて、こんなストーリーで最後泣けるとは予想もできませんでした。
ただし、ラストシーンはちょっと余計だったかも。そこだけが残念かな。

どうも最近の邦画って、キムタクものとか、フジテレビものとか(同じか)、子供向けとか、誰か最後に死ぬやつとか、そういう個人的にあんまり興味のない映画はヒットしているのに、先日見た「自虐の詩」とか今日見た「キサラギ」とか自分が気に入った映画のほうが、商業的に成功しそうもないのはどうしてでしょう。(日曜の昼なのに今日の観客も少なかったなあ)

私は、こういう脚本も演技も技巧的な映画ってクリエータ魂を刺激され、とても感銘を受けます。
決して高尚なテーマじゃなくても、敢えて俗っぽいアプローチでも、芸術性の高い映画って絶対あり得ると思うのです。

2007年11月17日土曜日

「五つの母音の冒険」全曲初演します

昨年、朝日作曲賞を頂いた拙作「五つの母音の冒険」を、次の日曜日(11/25)に全曲初演する予定です。
詳しくはヴォア・ヴェールのページで。

とはいえ、正直、作曲賞応募を意識した曲なので、ウチの合唱団のようなフツーのアマチュア合唱団にとって、かなり難しいのは確か。10ヶ月近く練習してきても、未だに調子外れの音を出したり、落ちる人がいたり・・・で、まだまだ本番での心配のタネはつきません。メロディを気持ちよく歌って楽しむ、というような曲で無いのは確かです。

その一方で、自分の中では確実に一般の合唱曲と違うテイストを持っているという自覚があって、それが特に合唱を普段聴かない人にどのように聞こえるのか、大変興味を持っています。
「A」では、対位法的な方法でパートが重層的に重なる様子とか、その中に現れるシンプルで土俗的なメロディの対比とか、その辺りが聴きどころ。
「I」は、何しろ圧倒的なスピード感と、全く合唱らしからぬ瞬発的な表現が特徴。
そして今年の課題曲「U」は、ある種サウンドスケープ的な音像と言えるかもしれません。
「E」は、音のある小芝居というか、寸劇的要素があって、それがどこまで理解してもらえるかがポイント。
「O」は基本的な骨格は変奏曲なので、そのような曲調変化を楽しめるし、最後の壮大なコラールで組曲を締めくくる爽快感もあると思います。

いずれも、作った自分の感覚での話ですが、これがお客様に伝わるか、演奏がそれほどうまくなくても(もちろんまだまだ努力しますよ!)それでも伝わるプリミティブな音楽の力があるのか、そういった点を是非、聞いてみて欲しいと思っています。

2007年11月13日火曜日

東京の全国大会を満喫

今年も行ってまいりました。合唱コンクール全国大会。
演奏だけでなく、いつものあの人、懐かしいあの人にも会えて、いろいろ楽しかった二日間。
いろいろなことを織り交ぜて、トピックごとにご紹介。

●注目のG4、全国では一団体(ちょっと寂しい・・・)
というわけで、拙作、課題曲G4ですが、歌ってくださったのは、職場の部、日立CSPのみでした。
実は、CSPはその昔、関東大会で私が在籍した団体と全国大会を争っていた良きライバル団体なのですが、我々は団員不足で団がほぼ消滅。かたやCSPは晴れて全国大会の舞台にのることになって、個人的には感慨深いものがあります。そんな彼らが拙作を歌ってくれたのも何かの縁でしょうか。
演奏後、挨拶に行ったらその場のノリで、記念写真に納まってしまいました。その後、指揮者の辻志朗さんとも曲のことなど語り合えたのは嬉しかった。
演奏は少人数ながら、各パートが彫りの深い表現をしてくれていて、曲の雰囲気を良く伝えていたと思います。
どうもありがとうございました。

●今ひとつ不発のG3、いささか食傷気味のG2
混声課題曲については、G4も取っ付きにくいし(結局自分で言っている-_-)、いろいろな団で選ぶのに苦労されていたかもしれません。
G3は大学中心に何団体か歌っていましたが、まだあの曲の魅力に対して突込みが足りないと私は言いたい。「クレーの絵本」の詩っぽく表現するならこんな感じ。「まじめなひとが、まじめにギャグをする・・・サムい。」
声色まで変えて表現を工夫していた、O久保混声の演奏が一番面白かったですが、さらにもう一つヒネリが欲しかったです。福岡教育大学の「ハクション・・・!」は面白かった。(うーん、結局演出の批評になってますが)
それから、G2を演奏した団体が非常に多く、審査基準としては良かったのかもしれないけど、曲自体ちょっと好みではなかったし、あんまり歌う団が多くてきちんと聴いてませんでした。すいません。

●今年の面白かった曲
会津混声の「Weather Report」はいいですね。今風のハーモニーと軽快なリズム感が心地良い作品。これは、また来年以降流行るかも。楽譜もゲット。
岡崎混声の委嘱作「廃墟から」も今までの信長作品とはちょっと肌合いが違う興味深い作品。曲調が様々に変化するのが面白いです。近いうち全曲初演されるようです。
リゲティの「Lux aeterna」は、もはや古典とも言える作品ですが、あらためて聴くと、なかなか面白いかも。(その後、今井さんに曲解説してもらって、さらに興味が沸いた(後述))

●そして最高に素晴らしかった、なにわコラリアーズ
古今東西の合唱曲で、私が最も素晴らしい曲の一つだと思っているトルミス「鉄への呪い」。
これをなにわコラリアーズが演奏するのですから、もう演奏する前から期待度ビンビンです。
そして、期待を裏切らない素晴らしい迫力、そして演出。この曲には振りの指定があるのだけど、その指示をさらに拡大解釈して、独自の振り付けをしていました。そのタイミングと、曲のイメージとのマッチがまた素晴らしかった。
音楽のメリハリや、厚みのあるハーモニーもいつもならでは。私の中では、今年の最高の舞台でした。
��本来、8分30秒で出来ないような気もするのですが、どこか省略していたのかは定かではありません・・・)

●噂の「かつてない二次会」に潜り込む
本番に出ていないくせに、合同二次会に参加。
想像以上のスゴいノリに圧倒。そりゃ声自慢が一つの部屋に集まるんだから、うるさくならない訳が無いですね。超ロングの乾杯コールが圧巻。
都連の方々、またいろいろな団の方とお話できて楽しかったです。
指揮者の先生方とは、清水敬一さん、グリーンウッドハーモニーの今井さん、ESTの向井さん、MODOKIの山本さんといろいろと興味深い会話が出来ました。
おかげで、歌いに来なかったにも関わらず、全国大会に参加したような気分になって、帰途に着くことができました。

2007年11月10日土曜日

ネット時代のアーティスト

前回紹介したレディオヘッド。
実は、最近非常に面白い音楽の売り方で話題になっています。
例えばこちらをお読みください。
メジャーレーベルとの契約終了後、自分たちでネットで直接、新作のダウンロード販売を始めたのです。しかも価格は「あなた次第」。

記事の最後にあるように「無料ダウンローダーに対応した新しいビジネスモデルを考える時が来た」というのは、まさに私の予期した未来です。
つまり、将来的には全てのデジタルコンテンツは無料にならざるを得ないのでは、と私は思っています。それは、有料にするためにセキュリティをかけたり、コピー制限をかけるような仕組みの技術的コストがバカにならないからです。だって、ただ配るだけならファイルをサーバに置くだけで終わりですからね。
ただ残念ながら、無料になることを肯定した場合の経済的な仕組みまでは、全く予想がつきませんが。
いずにしても、時代は変わっていきます。
街から写真屋さんが消えていったように、レコード会社やCDショップもそのうち消えていくことになるでしょう。

この試みが、レコード会社、他のアーティストなどにどのように影響を与えるかが楽しみ。

2007年11月6日火曜日

Radioheadを聴く

Okcomイギリスのロックバンド、Radiohead(レディオヘッド)を最近聴いています。と言っても、まだ「OK Computer」と「Kid A」のみですが・・・。
ちなみに、3rd Album「OK Computer」は1997年リリース。「Kid A」は2000年。実はすんごい昔のアルバムです。

何度も聴いているうちにどんどんはまってきます。この感じは・・・そう、往年のプログレの雰囲気。といっても、やたら速弾きとか、長大な組曲とかそういうのではなくて、初期キングクリムゾンのような、退廃的でメランコリックな感じがすごくプログレっぽいのです。
その一方で、何かメカニカルな感じも持っていて、サウンドに対する先進性も併せ持っています。わずかに現れる変拍子もプログレ感を感じさせる要素。

「OK Computer」は、世界的にも大ヒットした作品だそうで、かっこいい曲がいっぱいあります。
冒頭の「Airbag」、エレキギターの主題が始まった瞬間から、何ともいえない壮大かつ悲しげな世界が広がります。二曲目の目まぐるしい曲調の変化も面白いし、終曲の寂寥感も美しい。
「Kid A」は、ギター中心のバンドの音から、電子音を多用したサウンドに変化。ミニマルな雰囲気の中に、ヨーロッパ的な哀愁が漂う、雰囲気のあるアルバム。

mixiで、Radiohead のコミュを検索していたら、何故か「病的な曲が好き。」とかいう名のコミュがヒットして、そこで語られているアーティスト名を見て、そうか、自分って病的な曲が好きだったのか、と複雑な想いを感じているところ。

2007年11月2日金曜日

ネット時代の著作者

ネットを賑やかすたくさんのシロートクリエータ達。
彼らの欲しいものは、作品を閲覧したときに発生する著作権使用料でしょうか。
もちろん、お金は欲しいかもしれない。でも、お金を取ろうとすれば、誰も見ても(聞いても)くれないことは自分自身の行動を見ても明らかなことです。
お金を取る以前に、一人でもたくさんの人に見て(聞いて)欲しい。そしてあわよくば感想などを聞かせて欲しい。それが賞賛の言葉ならなお嬉しいのです。「たくさんの人」は自分の身の周りの人でなく、不特定多数の人であるほうがなおのこと、評価が客観的なような気がして嬉しい気がします。

結局、金銭的な報酬とは、不特定多数の人々の間接的な賞賛を意味しているのだと思います。そうであるなら、本来クリエータが欲しいものは、お金そのものでなく「自作品を鑑賞した他人の賞賛」なのではないでしょうか。
私自身の気持ちも全くそのとおりなのです。お金よりもまず、自作品を認めて欲しい、それが有名でないクリエータの偽らざる本音だと思います。

そして、ネットが少しずつ、そういった草の根クリエータの作品の提供の場を増やしていっています。
音楽も、文章も、イラストも、動画も、今や簡単にネットで閲覧することが可能になりました。
プロフェッショナルな芸術マーケットがビジネスとして成り立たなくなったとき、そこに金銭的損得とは別の価値観で評価されるような、新しいクリエータたちが生まれてくるような気がしています。