ディズニーのトゥモローランドという映画。予想を超えて面白くて、色々思うところもあったので、たまには映画の紹介でも書いてみます。
トゥモローランドとは一見、未来都市のことかとも思えるのですが、映画を見る限り別次元の平行世界みたいなもの。
このトゥモローランドは非常に科学が進んでおり、多くの世界の科学者、発明家がその平行世界を作るのに秘密裏に尽力していたという設定。
主人公ケイシーはひょんなことからトゥモローランドに見ることが出来るバッジを手に入れ、そのために謎の人たちから何度も襲撃にあいます。しかし、そこに至る描写が非常に断片的で、映画の前半ではかなり多くの謎が積み重なります。
事件に巻き込まれるケイシーも、途中で助けてくれる謎の少女アテナに対して、多くの疑問を口にするのですが、なかなかきちんとした回答をしてくれません。
この辺りの謎を引っ張るテンションに支えられて、中盤くらいまで観る人もほとんど良くわからないまま、謎の男たちに襲撃されるアクションでドキドキハラハラ。
そして、中盤以降は平行世界を舞台に映画は展開していきます。
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この映画の見所の一つは、その平行世界の描写。
冒頭、子供時代のフランクが未来世界に驚く様とか、ケイシーがバッジでトゥモローランドを体験する様とか、そこでの近未来社会の様子が詳細に描かれていて、映画を見ていてとてもワクワクします。
未来といっても、多分それほど先の未来ではなく、どれも今ある技術の延長ではあるのが多分心地良いポイント。というのも、どれも普通の人が想像しうる未来だからです。
もし、本当に何十年か先にこの映画を見たら、「あぁ、あの頃の未来のイメージってこんなだったよね」とか逆に懐かしく感じるに違いありません。
それでも、それを非常に細かいディテールで描いていたのはさすがディズニーと思いました。
ただ正直言って、途中まで膨らませた謎が、終盤、解かれていく度にややショボい感じになったのは確か(ご都合主義的で)。
終盤でのケイシーのアイデアも実は今ひとつ理解できませんでした・・・
この辺りは、出てくる設定の数を少なくするなど、多少整理の必要があった気がします。
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ただ、この映画の底流に流れている「夢見る人(Dreamer)になれ」という思想が、ひしひしと伝わってきて、私にとってそれがこの映画で一番面白いところではないかと思ったのです。
言葉で言うと「夢見る人になれ」というのは簡単。
言葉だけなら誰も否定しない。だけど、夢見る人は実際に行動を移せば、いろいろなところで問題を起こし、否定されます。
それでもめげないケイシーの向こう見ずさ、明るい未来を信じているその強い想い、そしてラストでのポジティブなメッセージは、映画を観る人たちに、もう一度「夢を見よう」という心地良い希望を与えてくれます。
やや青くさいメッセージではあるけれど、何かに興味を持ち、その気持ちを持続させながら、大人になっても夢に向かって静かに突き進もうとするその強い意志を持つことは、人間にとってどれだけ大事なことでしょう! ディズニーは子供だけでなく、大人にもそういった希望を与えてくれたのです。
私もちょっとだけ勇気をもらいました。