2008年8月13日水曜日

ダークナイト

ノーラン監督によるバットマンのシリーズ二作目の映画を観ました。ちなみに一作目は渡辺謙が出ていた「バットマンビギンズ」。
ダークナイトのナイトっていうのはknightの方で、バットマン自身が「暗黒の騎士」だという意味。
この映画、アメリカではかなりのヒットだったそうですが、日本では恐らくあまりに世界観がダークすぎて受け入れられないのではないでしょうか。
ダークというのは、単にならず者が現れてドンパチをやっている、というような意味ではなくて、悪とは何か、正義とは何か、を捉え直しながら、勧善懲悪というアメリカが好きな価値観をわざと揺るがせようとしている製作側の態度から来ているように思えます。

悪役のジョーカーは、バットマンがいるからこそ自分の存在意義がある、と言い放ちます。全ての物事は二面性を持っている。悪があるからこそ正義も生まれる、そして正義を通そうとするからこそ悪も生まれるという矛盾をあぶり出すのです。今のアメリカの状況に対する辛辣な告発ともとれます。
その結果、正義であることの苦悩を表現するために、この映画は爽快なヒーロー映画では考えられないストーリ展開となります。重要人物がことごとくジョーカーの手にかかって殺され、善人さえ悪人に変わり、信頼していた周辺の人々も裏切りをしていく。信じられる物が無くなるくらい、観ている者の倫理観を侵していきます。

ジョーカーという人格の不気味さも際立っていますし、もちろん派手なアクションシーン、爆発シーンなど激しいシーンも盛りだくさん。2時間半近いかなり長い映画ですが、ジョーカーの執拗な攻撃の連続に息つく暇も無く見せた映画の流れも見事でした。
"Why so serious?" シリアスにならざるを得ない流れを嘲笑うようなジョーカーの名台詞です。

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