Maker Faireは確実に広がっている。出展者も増えているし、毎年観客も増えている。そういう意味では、Maker Movementの広がりは確実に進んでいるとも言えるのだけれど、当初、私が熱狂したような広がり方の予想からすると、随分歩みは遅い。むしろ、幻滅、あるいは挫折に近い感覚を持っている。
Maker Movementはある意味、個人の経済的、社会的自立を意味していた。
しかし、2012年にMaker Movementの可能性を感じて以来、Makerは単なる趣味でしかなく、それ以上のものになっていない。
ファブ地球社会コンソーシアムで田中先生曰く、ほとんどのmakerの興味はMaker Faireに参加することであり、現実はそのためのプロジェクトを回すことで精一杯であり、社会的な問題解決のための活動とは程遠いところにいる。
問題解決は社会に役立つということであり、それは必ず経済的価値を生むはずなのだけれど、そこに至らないのだからMakerは社会の経済的循環の中に位置を見いだすことができない。
確かに私は楽観的過ぎたかもしれない。
自分のつくりたいものを作って、それが売れて商売できたら嬉しいのは誰もが思うことだけれど、それが成り立つためには、人が欲しいものを売らなければいけない。
ほとんどのMakerにとって、それは全くリアリティに欠ける現実で、どうせ売れないんだから一発ギャグ的な作品でいいじゃないか、という逃避の姿勢を生んでしまう。
結局、Maker Faireは一発ギャグの消費の場にしかならない。
持続的にMakerが自立するためには、もっと綿密なマーケティングと、譲歩の姿勢で市場にコミットする意識が必要だけれど、そうなるともはや趣味でなくなり、日常のお仕事と変わらなくなる。それが嫌だからこそ、Maker活動してきたのにである。
まだそこには大きな隔たりがある。
その隔たりは何か、それを超えるにはどうしたら良いか、そこについてもう少し考えなければいけない。
他人に対する価値提供として、いくつか軸があるのだと思う。
例えば、アートと機能軸。マーケットのベクトル軸(マスかニッチか)。社会問題と趣味軸、ローカルとグローバル軸。このくらい考えればいいかな。
とりあえずここまで。